がたんがたんとすごい音がしたので、心行くまでノボリさんの唇に触れたあと音の出所を確かめに行ってみた。
多分寝室だと思う。




ドアを開けてみたらいたるところに赤いしぶきが掛っていた。床には血に染まり転がって動かないクダリさん。自分でやったのだろうか、そばに包丁が落ちている。きっと一息に死にきれず苦痛にのたうったのだろう。室内の惨状がそれを物語っている。


あぁ、クダリさんはまだあたたかい。生きてる人の温度みたいだ。


これじゃあ満たされない。あとで、クダリさんがすっかり冷え切ったころにもう一度来よう。




私は再びキッチンに戻るとノボリさんの頬を撫でる。冷え切って弾力を無くした肌に全身の血が沸き立つのを感じる。
冷たい唇に自分のそれを触れ合わせれば、この上なく甘美な味がした。





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