あのこがうちに来てもう一週間くらい。短い電話を誰かに一本いれて、それっきり彼女はノボリの傍らに座りこんでしまった。




ノボリの頭を抱え込んで微笑んでいる彼女はさながら聖母のような静かさで、時折そのもう冷たい唇に口づけている。
動かないノボリと彼女をみて、僕はどうしようもない気分になった。僕の大事だったものは、全然手の届かないところに行っちゃったんだ。


僕の片割れを切ったまま放置していた包丁を手に取る。柄には血がこびりついてどす黒く変色していた。僕はそのまま寝室に引っこむ。


この上さらにあの二人の邪魔は出来ないよね。


ふわふわのベッドに横たわって、鈍く光る切っ先を喉元へ押し込んだ。





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