べろり。


私の指先に出来た傷口に舌を這わせるノボリさんはとても動物的だ。私が血を流すたびにこの人はこうやって私の傷口を広げにやってくる。舌先でつつき、歯をあてがい、傷をえぐり更に血液を得ようとするその行動は、私をただの食料としか見ていないかのようだ。


「足りません」


指だけでは満足出来なかったらしい彼はぐいと私の顎をつかむと唇を寄せてきた。そのまま深く口づけられる。鉄錆の味がした。舌をからめられたと思ったら、ガリッと脳天に突き抜ける痛み。舌に深々と犬歯をつきたてられ、あふれる血液をじゅるじゅるとすすられ、ごくりごくりと嚥下されるのがわかる。


「っい、……ぁ」


酸素の不足と血液の不足でくらくらする。しっかりと立っていられない。ずるずると壁にそってしゃがみこんでも、まだノボリさんは私をたべるのをやめてくれない。


「…っん、…のぼ、……」


いい加減視界が暗くなり始めたところでやっと解放された。
丹念に口内を舐めつくし血の一滴まで残らず飲みこんでから唇を離される。


「ごちそうさまでした」


わずかに口の端をめくり上げて笑う彼は、私の事などきっとどうも思っていない。





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