よろめいた彼女の腕を咄嗟に取って支えたら、僕やノボリとは全然違うその柔らかさに驚いてしまった。ふにふにしてて骨なんか無いんじゃないかってくらい。彼女がよく僕らの二の腕や太ももをぺちぺちと叩いて遊んでいるのを何が楽しいんだろうと思って見ていたけれど、男女の差がここまであったなんて。


丁度昼休みになったところだったからそのまま彼女と休憩室に向かった。ドアを開けたら早々に彼女は給湯室にすっ飛んでいってしまう。きっと今日も融けきらないくらいスティックシュガーを入れた特製のカフェオレを飲むのだろうな。僕も大概甘党だがあれは無理だ。甘すぎる。


ひょっとしたら女の子と言うものは、いちごのショートケーキやとろりとしたプリンや、アイシングを纏ったドーナツ、はちみつのかかったホットケーキ、しっとりしたチョコレートケーキ、バニラのアイスクリーム、生クリームとカスタードの入ったエクレア、砂糖がたっぷりのミルクティー、そんな甘くてふわふわしたもので出来ているのかもしれない。だから僕らと違ってすぐに傷が付いてしまうし、壊れやすいのだ。
甘いもので出来ているから砂糖をいっぱい補給しなければ生きていけない。内側に隙間なく詰め込んだ甘ったるくて可愛くて素敵なものたちを、一生をかけて消費していくのだ。なんておとぎ話のような存在なんだろう。そんなもので作られた体は、きっと僕ら男みたいな固くて無粋な骨や筋肉はいらないんだ。


「あぢあぢあぢ、ふー…………うまー」


彼女の、マグカップに付けた唇がまるでよくできた砂糖菓子みたいに見える。力ずくで奪ってもいいのだけれど、僕が少しでも手を触れたらばらばらと壊れてしまう気がした。


「ねえ、君はお菓子で出来てるんじゃない?」


我ながら可笑しな問いかけをすると彼女はきょとんとした後ににっこり笑ってこう言った。


「多分柿ピーで出来てます」





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