「おや?昼食は摂らないのですか?」
「うぅ…あ、ノボリさんお疲れ様です…」
「お疲れ様です。どうなさったのですか、いつもは嬉々として弁当を広げてらっしゃるのに…具合でも悪いのでございますか?」
「いや別に、ちょっとダイエット的な……ちょっと、何でそんな『お前が?』みたいな顔で見るんですか…!いいじゃないですかダイエットくらい!」
「あ、いや、そんなつもりは」
「お正月に食べすぎちゃったからここでバランスとってるんですー。私の事は気にしないでください」
「…しかし食事を抜くというのは短絡的でしょう。運動などで消費すべきです」
「フッ、ノボリさん。人一倍運動の嫌いな私にそんなことをしろというんですか?返事はノーです!すなわちご飯食べないことしかダイエットの道は残されていないんです…!一人暮らしっていいですね、自分さえ何もしなければ勝手に体重が減っていきます。」
「まさかあなた」
「お察しの通り昨日は一日水しか飲んでません」
「水!?ば…馬鹿ですか!!何でそう極端なことをなさるのです!」
「あ、今朝はちゃんと朝ご飯食べましたよ!冷蔵庫に眠っていたたくあんのみをポリポリと」
「炭水化物は!」
「そんなの摂ったら太ります…!」
「太る太らない以前にそんな生活をなさっていたら健康を害します!ほら、これをお食べなさい!」
「うわぁぁやめてくださいノボリさん!おにぎりなんか見せないでー!お腹すくじゃないですかー!」
「その手をどけなさいまし…!口をとじるな!」
「ノボリさん怖…ん゛むっ!」
「全く手を焼かせる…。よく噛んでから飲み込むんですよ」
「…む……………んっぐ、おいしー!おにぎりおいしいですノボリさん!むぐ」
「はいどうぞ、からあげ」
「……」
「いかがですか?」
「……んう、こっちもおいしいです!」
「それはそれは」
「はー…ごはんってすばらしい…」
「そうですとも」
「でも…あーあ、ノボリさんのせいでダイエット失敗ですよー」
「何をおっしゃいますか」
「ちぇ、せっかく今回はいけそうだったのに…今夜からまた抜こうかな…」
「……卵焼き食べますか?」
「食べます!」
「美味しいですか?」
「むぐ、おいしいです!」