「私…見ちゃったんです!さっきノボリさんがギギギアルをうっとりと指でなぞりながら『あなたさまのこの全てを拒絶するような金属光沢…美しい…あぁ、愛しています…』って呟いてるの…!」


「ハァ?何言ってんの、ノボリがそんなことするわけないじゃん」


「いやー信じたくない気持ちも分かりますが」


「君のいつもの妄想でしょ?だってノボリはすっごい照れ屋だもん、そんなこと手持ちにだって言えないよー。せいぜいおやすみのちゅーするくらい」


「あ、そっちですか!ていうかちゅーの方が恥ずかしくないですか?」


「どっちも人に見られたらそりゃ恥ずかしいよ!僕の前では絶対やらないし」


「ですよね!にしても隠れて見てたんですかクダリさん、相当アレな人ですね!あーノボリさん恥ずかしがらせてぇ…羞恥心に震えるノボリさん激写してぇ」


「ちょっと…肉親の前でそういうこと言わないでよ」


「あらすみません。…でもクダリさん、いつもは澄ましてるノボリさんが真っ赤になってるとこ見たくはないですか?」

「見たい!」


「でしょう!?あ、ちょうどよくスケープゴートが来ましたよ」


「スケープゴートとはちょっと違う気もするけど…ノボリぃぃー!『おやすみなさいましオノノクス。明日も頑張りましょうね、ちゅー』」


「な゛ッ!」


「『ダストダス…あなたのその戦うたびに剥がれ落ちて行く鎧…あぁ儚い、切ないですね…』」


「ぅあ!」


「『クダリが嫌になったらいつでもわたくしの元へいらして下さって構わないのですからね、デンチュラ。ちゅ』」


「ひぃぃぃぃ」


「『イワパレスに花の種をまいたら…きっとさらに可憐な姿になるのでしょう』」


「やめ…」


「『ドリュウズの鋭利なツメが月の光を跳ね返すさまは幻想的ですね、ちゅー』」


「いい加減に」


「『あなたのその青い炎を眺めていると…どこか心が穏やかになります、シャンデラ』」


「どうしてそれを」


「『どうしたのですアイアント、一緒に寝ますか?ちゅ』」


「ぎゃー!」


「…ノボリさんったらポケモンに対してどんだけ愛囁いてんですか!セクハラよ!ポケセクハラよ!」

「おやすみのちゅーくらいなら普通かと思って黙ってたけどノボリ相当キてるよ!」


「私の事を変態変態言ってましたがノボリさんもフフフフンな感じですね!うひゃひゃ」


「フフフフンな感じだねノボリ!あひゃひゃ」


「なっ何であなた方がそれを知ってらっしゃるのでございますか!!」


「あらあん良い表情。クダリさんカメラカメラ!」


「ああっライブキャスターしかない!この際これでもいいや、そーれ、ぱしゃー」


「ああああなた方ときた人は…!!」


「ああっその表情すっごくいいですね!クダリさん、しっかり撮れましたか!?後で送ってください!」


「一秒間に32連写余裕だよ!」


「聞いていらっしゃるのですか!?」


「聞いてます聞いてます。録音もしてますよ」


「えっ?」


「あれ、ノボリ知らなかったの?ギアステーション内で監視カメラの目が届かないところなんかないよ?」

「はい!二十四時間サブマスのお二人の素敵ショットを見逃さないように私が設置しました!経費で」


「すごいんだよ、集音マイクも超高性能だよ!」


「そんな馬鹿なことが、」


「おかげでいいモン見放題でしてねぇ…。『あなたさまのこの全てを拒絶するような金属光沢…美しい…あぁ、愛しています…、ギギギアル…』。いやあ、悩ましげな表情が非常によかったです」


「うわぁぁぁぁぁぁ!こっ、この変態!」


「お互い様、愛ゆえですよ!」











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