「ああホラ、目をこすってはいけませんよ。花粉症ですか?」


「違います…何かごろごろするんです、目!かゆい!いたい!」


「ゴミでも入ったのでしょうか…どれ、こっちにいらっしゃいまし」


「トイレで鏡見てきます」


「いいからいらっしゃいまし早く」


「はーい…」


「よろしい。…どちらの目ですか?」


「見てわかりませんか、左目ですよ!」


「…どちらも涙目だったので。あ、動かないでくださいまし」


「はいはーい…痛ぁ!ちょ…今目に指刺さりましたよノボリさん!痛いですよ!」


「ああすみませんね。…よく見えません、涙我慢して下さい」


「無理です」


「…拭います。ええと…あ、ありました。睫毛が入っていたのですね」


「まつげでしたか…取って頂けますか?」


「はいはい、また痛くしてしまったら申し訳ありません」


「そんなの良いですからはやくー!痛気持ち悪いんですよー!」


「あ、ちょっと、腕をつかまないでくださいまし、取りにくいでしょう」


「はやく、ノボリさん早くってば」


「ノボ…、僕お邪魔だった?」


「おやクダリ。何がです?」


「え?あ、クダリさん。どうかしたんですか?」


「どうかしたも、何って…」


「ああ、だからこするなと言ったでしょう!」


「だってノボリさんやってくれないじゃないですかー!」


「赤くなっても知りませんよ!」


「赤くなることのリスクよりも目がごろつく方が嫌…あ、取れた」


「ん?何、目にゴミ入ったの?」


「はい、まつげが。ノボリさん取ってくれなかったんです」


「ですからそれはクダリがちょうど来たから…!」


「あ、はは、びっくりしたー…キスしようとしてるのかと思っちゃった」


「なッ、クダリ!」


「やっだークダリさんってば、ありえませんよそんなこと!あっはは」


「………そうですよ、有り得ませんよクダリ…ありえませんよ…」


「あっあの、勘違いしてごめんね!その…ごめん、ノボリ、僕が悪かったよ…」


「ありえませんよ…」


「あーすっきりした!目!」





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