「おーい!これから休憩でしょ?僕もなんだ!ミュージカルのカフェにご飯食べにいこうよ!」


黒いコートのクダリさんが走り寄ってくる。今日はもうコンビニでお昼を買ってしまっているので外に行く気はないんだけどな。しかしクダリさんがお昼に誘ってくれるだなんてとても珍しい!


「えー…クダリさんの奢りだったら行きますけどぉー」
「今さら何言ってんのさ!いつもそうでしょ」


いつも?あれ、いつもだなんて言うほどクダリさんと食事に行ったことなんてないと思う。


「おととい、の前の日?かな、その時だって君、フレンチ行って上司の財布事情なんか気にしません!って酔い潰れるまでワイン飲みまくって…」


そう、だったかもしれない。記憶にないけど。


「だから僕、君がおととい休んだって聞いたときは二日酔いだろうなって思っちゃった!でも風邪だったんだってね。大丈夫?」


そうか、私は先一昨日クダリさんとご飯食べたんだっけ。酔い潰れるほどということは、これは相当飲んだに違いない。申し訳なくなってきたぞ!


「あ…えっとー、もう治りました!ご心配お掛けしました!」
「本当!良かったー!やっぱり君がいなくっちゃどこか居心地悪いんだよねぇ。さ、行こ!」


クダリさんが自然に私の手をとって歩きだした。しかたない、鮭おにぎりは今日の晩御飯にしてしまおう。消費期限も数時間くらいきっと平気だ。


子供体温だろうとばかり思っていたのに、クダリさんの手はまるで陶器のようにとてもひんやりとしていた。







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