「はー…」


「どうかした?君がしょぼくれてると不安になっちゃうな、天変地異の前触れかって!」


「……………。……はー…」


「…え!?本当にどうしたの!?何で怒んないの?お腹痛いの?」


「なんでも…ありゃーせんのですよー」


「風邪?腰痛?頭痛?せいr」


「おおっとそれ以上はいけませんよクダリ!」


「あ、ノボリ」


「……………」


「……どうなさったのです、…ほとんど空気の抜けた風船のようになってしまわれて」


「……………」


「ねぇ、やっぱおかしいよね!?いつもなら『誰が空気の抜けた風船ですかコラァァァ!萎びてるってことか!』くらい言うのに!」


「ええ、これは何かお辛いことがあったのかもしれませんね…。どうでしょう、お力になれるかどうかは分かりませんがわたくしどもに話してはいただけませんか?案外出してしまえばすっきりするということもあるかもしれませんよ。もちろん体調不良でしたら休みくらい与えますし」


「うん、話して?」


「……あの」


「うん」


「ちょっと昨日考えちゃったんです。私ぶっちゃけこの駅でも一番したっぱだし、使える人間ってわけでもないし」


「はい」


「お二人が私によく目をかけてくださるのって本当なら身に余る光栄なのに…、なのに私はこんな、全然他の人より秀でたところとかなくって、弱っちくって、そんなでいいのかなって、もっと凄い人になれたらいいのになって、部下として申し訳ないなって思っちゃって」


「うん」


「それで……、ちょーっとだけネガティブになってたんです!おわり!ヤな話してすいませんでした!」


「…馬鹿ですねぇ」


「馬鹿だねぇ」


「そんなこと考える必要なんて無いのでございますよ。あなたさまはあなたさまで他の人と比べる物ではありません。あなたさまそれ自体がわたくしたちにとって価値があったから、目もかけますしこうして休憩時間も話を聞いたりするのです」


「そうだよ!それに君にもいいとこいっぱいあるよ!…えっと、ポジティブ、なところ、とか?猪突猛進なところとか…」


「…ぷ、あは、なんですかそれ…。ありがとうございます」


「あなたさまが笑っていると無条件にこちらも気が晴れやかになります」


「うっわ!ノボリ、クサいセリフ!今時ドラマでも聞かないってそんなの!少女漫画だよ!」


「、ふふ、あはははは!いや、嬉しいですノボリさん!嬉しいです!…うん、よし!元気でました!お気づかいありがとうございました!」


「いーえ!」


「どういたしまして」


「やっぱ人と比べて無いものねだりしたってしょうがないですよね!自分の個性とか伸ばすのが大事だし!」


「そうだよ!」


「流石、年長者の言うことは聞くに限りますね!んっふっふー!じゃあちょっくらカワイイ子ナンパしてきますし!あでゅー!」


「えええええそういう意味じゃないよ!ちょっと!駅員がそれしちゃダメー!」


「あー…こういう方だというのを忘れておりましたね」


「普段とのギャップについ慰めようとしたのが裏目にでたねー…」


「そこのおねえさぁぁん!この写真あげるから私と一緒にお茶しませんか!」


「!?クダリ!あれは本当にまずい気がします、取り押さえますよ!」


「ああ…あの子が持ち歩いてる写真っていったら十中八九ノボリのだもんね、じゃあ僕いいやー」


「お願いです協力して下さいませクダリぃぃ!」


「超レアな写真ですよー、なんたって生着替え…」


「お待ちなさいましッ、それは許しませんよ!!」





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