「実家帰ればよかったかな…年越しそばがカップ麺って寂しい。超寂しい。一人でテレビ観てるのも虚しい。くそ、誰かに電話しようかな…!………あ、もしもーし!今ひま…え、彼氏?あ…そう、いや何でもない、すまんかっ、…はー?違うよ、こっちも隣に彼氏いるしー、超楽しいしー。…え?テライケメン有能上司ですが?じゃあね!…………クソ、リア充が…!年越しに彼氏と過ごすとか何なの…!聞いてねぇよ……!…………………ん?誰だろ…はーい今出まーす」
「あけてー!あけてー!!」
「え!?クダリさん?ちょっと待ってください今チェーン外すんで…はい!お待たせしました…酒くさっ!」
「こんばんは!寒い!入っていい?ありがとう!お邪魔しまーす!」
「おいおいまだ何も言ってないんですけど…ぎゃ!そこ寝室です開けないでください!」
「えい!…ふかふかー!いい匂いする…」
「嗅・ぐ・な!どうしたんですクダリさん、何でうちに…」
「こんばんは!ごめんね入るよお邪魔します!」
「…は、クダリさん?え、どっちがクダリさん?」
「枕シャンプーの匂い…」
「ぎゃー!やめて!」
「ノボリィィィ!それはアウトだよ!」
「こっちノボリさんですか!?どうしてこうなったんですか!?」
「無理矢理飲ませたらこんなことに、じゃなくてちょっと飲み過ぎちゃったみたいで…ごめんすぐ連れて帰るから!」
「やだやだもうここで寝る!」
「僕の真似やめて!」
「どっちがどっちか全然わかんねぇ」
「ほら帰るよ!」
「だがこれはこれでなかなか…」
「毛布放して!ちゃんと立って!」
「……………すぴすぴ」
「ノボリぃー…!」
「毛布にくるまって微笑んでいるノボリさん…天使の寝顔だわ!クダリさん!ちょっと待っててくださいデジカメ取ってきますから!」
「やめたげてよぉ!」
「……おや、ここは……?……!?」
「………ん……あ、ノボリさん…おはようございます…。寝起きの乱れ髪とか喉でごろつく低音ヴォイスがセクシーですね。あけおめ」
「何故あなたさまがここに!?」
「この場においてストレンジャーはノボリさんの方ですよ。何故ならここは私の家ですから」
「え…え、まさかわたくしあなたさまに、その…」
「………昨日のノボリさん、とっても可愛かったですよ」
「ちょっと、ノボリが勘違いするからやめて」
「クダリさんおはようございます。あけおめ!ソファの寝心地は如何でした?」
「あけおめ。とっても悪かった」
「そりゃどうも!」
「クダリ、クダリ…説明していただけますか」
「世の中には知らない方がいいってこともある」
「その通りです!酔って部下の家に子供口調で突撃訪問した挙句そのままベッドにダイブしたことなんて知らない方がいいですよ!」
「……はは…まさか、そんなわけ…」
「しかもその上枕抱き締めて匂い嗅いでたなんて知らない方がいいに決まってるよ」
「ご冗談を…」
「そしてこちらが証拠の写真です。まぁなんて可愛らしい寝顔!もちろんトウコちゃんベルちゃんには転送済み!」
「ノボリ、酒は飲んでも飲まれるな!ちなみにその写真は僕にも転送済み」
「クダリィィィ!」