「大きくおなりー」


「そういうのはご自宅でやってくださいまし」


「お、ノボリさん。このキーの木が気になります?あっ今のダジャレじゃないですからね!」


「非常に気になりますね。なぜわざわざ職場に持ち込むのですか」


「スルーですか…別に構いませんけどー。これはアレです、お仕事で疲れた皆さんの心に潤いをと思いまして!それにほら、実がなったらポケモンに持たせることもできますよ!こっちにはラムの鉢もあります。まだ芽は出てませんが」


「ほう…まぁなかなか良いかもしれませんね。ですがキーはともかくラムとなると育てるのが難しいのでは?」


「大丈夫です。一時間ごとにしっかり水をあげてます」


「しかし夜の間はどうするのですか?」


「え?クダリさんから許可頂いてますよ」


「?何の許可ですか?」


「駅員の休憩室に泊り込む許可です」


「は?」


「いやー最初は家まで帰るのがめんどくさいから泊ってもいいですかって言ったんですけど怒られちゃいましてね!けど木の世話をしたいんだって言ったら簡単に許可出してくれました」


「あの馬鹿…」


「昨日からここに泊ってるんですよ私!良いですよねここ、シャワールームもあるしテレビもあるし空調もいじれるし…まぁ洗濯機は無いから近くのコインランドリー行ってるんですけどね!ほら、寝袋も持ってきたんです。シビビール型!飲み込まれているような気になれるデザインが超キュート」


「女性がそんなことをするもんじゃありません!そんな、深夜の駅に一人っきりだなんて…危ない目にあったらどうするんです!」


「あっは、なんですかその母親みたいな心配の仕方!大丈夫ですよ、変な人なんか入ってきませんし…大体この部屋鍵かけられるし」


「そういう問題ではないのです…!」


「あー!ラムの芽が出てきた!見てみてノボリさん、可愛いでしょう!」


「こらちょっと、聞いているのですか!」


「大きくおなりー」


「人の話はちゃんとお聞きくださいまし!」


「わーかーりーまーしーたー。もう、お母さんうるさい!」


「誰がお母さんですか!」







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