あたたかな日差しのもと、僕は我知らず本を片手に鼻歌など歌っていたらしい。城の中庭のベンチ、いつもの場所に座っていたのだけれど、膝に置いていた歴史書に影がさしたのを感じて顔をあげてみればこの世の終わりかと思うほどに驚愕の表情を浮かべた先輩の姿が目に入った。






わずらわしかった学年末試験も終わり、いよいよ夏休みが来ようとしている。誰も彼も浮足立っていて、それはスリザリン生とて例外ではなく、皆晴れ晴れとした表情で休暇中の予定について話していた。僕もそれなりに楽しみではあったけれども、ホグワーツをはなれあのじめっぽい屋敷へ戻るのは若干憂鬱でもあった。談話室で顔をゆるめて話しこんでいる友人たちを背に、僕はどこかで本でも読もうと寮を出たのだった。


そして話は冒頭へ戻る。


先輩は口をぽかんとあけたまま僕の顔を穴が開くんじゃないかと思うほど凝視している。そりゃ、僕が鼻歌なんて珍しいでしょうけど。あなたなんていつもバカでかい声で兄さんとたちと歌ってるでしょうに。僕は視線を膝の上の本に戻した。そういえばそもそも今僕が(あくまで無意識に)歌ったものだって、たしか彼女があまりにもよく口にするものだから覚えてしまったものだったと思う。歌詞のない短いメロディ、はずむような楽しげな曲調が、実は僕は少し気に入っている。

「レ…レギュラス」
「なんですか」
「あの…ええと、鼻歌」
「…僕が歌うのがそんなにおかしいですか」
「いや…」


珍しいことにえらく歯切れの悪い先輩。いぶかしんで顔をあげれば、太陽を背負った彼女は口元をだんだんとつりあげ、今にも笑いだしそうになっている。


「レギュラス、その…フッ、その曲、なんだか知ってる?」
「いえ、知りませんが」
「んふぐ、そう」
「(んふぐ?)…何か?」
「その曲はね、」


笑●のテーマだよ、と告げた後、後ろを向きこらえきれないように小さく噴出して走り出した先輩。彼女の目指す方向には、ちょうど城のかげから姿をあらわした兄さん。彼女に軽く手を振るあの人にむかって、彼女は「シリウスー!シリウスー!!」と叫んでいる。●点とやらが何なのかはよくわからないけれども物凄く嫌な予感がした。

兄さんの所にたどり着けたらしい先輩は、爆笑しつつ身振り手振り交えて何やら話している。すぐに兄さんのアホみたいな笑い声が響いてきた。後でシメる。






後日、スネイプ先輩から借りたマグルの四角い箱で笑●を観た。顔から火が出そうになった。先輩と兄さん、それから自分に忘却呪文をかけたくてたまらない。














:D

あの時代にPCは普及してないと思うけども



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