険悪なムードの時にもちょっと和む、という理由で、最近ギアステーションではお嬢様言葉が流行っている。
「お黙りなさい。きみ、口が悪くってよ」
「あぁらーごめんあそばせ、クダリさんにはこれが罵詈雑言に聞こえますのね!無教養って嫌ですわねオホホ〜」
「どなたが聞いてもあなたのは悪口でございましたよ。さぁさぁ早くホームの掃除にお行きなさい」
「ノボリさんのはお嬢様言葉に聞こえませんわね」
「そりゃそうです、わたくしお嬢様言葉など使っておりませんから」
「えーノボリってばノリ悪ーい……ですわね」
「じゃあわたし掃除行ってきますわね」
「行ってらっしゃいませ、ゲロ担当」
「お黙りなさいませクダリさんー!汲んできたゲロ掛けて差し上げてもよろしいんですわよ!」
「早くお行きなさいまし」
「いやー……わたしがグズグズしてる間に誰かが既にゲロ掃除しててくれないかなって……思ってませんわ!行ってきますわ!」
「何してはりますのん!はよぅゲロ片づけぇ言うとりまっしゃろ!?」
「ギャー!クラウドさんごめんなさぁぁぁぁい」
「……ったくあいつにも困ったモンでありんすなぁ」
「クラウド、それはお嬢様言葉じゃないんじゃございませんこと?」
「妙な花魁言葉使わないでくださいまし?」
「なんやなぁ、女言葉なら険悪にならないから試しにバックヤードで使おう言うたんノボリさんやないどすかぁ、ワシだって頑張っとりますのよん?」
「なんでしょうね、あなたの話し方だとカマっぽいんですよねどちらかというと……」
「あーそうかも……いえいいと思いますわよ僕、そういう、オネェ感?」
「オネェちゃうくてよ!」
「チャウクテ……?きみの言葉遣い、よくわかりませんわ」
「オネェと聞いて!ただいま戻りましてよ!」
「おかえりなさいまし、手はちゃんと洗いましたか?」
「いや素手で触らないですから。何を言ってらっしゃるのノボリさん」
「素手で触らないとかそういう問題じゃないと思いますわ!エンガチョですわ!きみ僕に触んないでくださいませよね!」
「えんがちょとかわたし映画でしか聞いたことありませんわよ!これがジェネレーションギャップですわね!クダリさん古いですわね!オラッ握手して差し上げますわ」
「うわやめてあっち行って!くださいませ!」
「ほらカステラ切りましたからあなたは早く手を洗ってらっしゃいよ」
「わーいカステラですわ!」
「あっ誰かが甘やかしてるなぁ思たらノボリさんらァだったんですわね?」
「僕は甘やかしてないですわよ、ノボリだけがあの子餌付けしてるんですわ。カステラもーらいー」
「いえ、わたくしは彼女だけでなくクラウドのこともクダリのことも餌付けしておりますよ」
「初耳どすえ!そんな風にお思っとったんどす?」
「僕餌付けされてないですわ!」
「クダリ、カステラもう一切れ食べますか?」
「食べる」
「それと後でR9までお使いに行ってほしいんですが」
「いいよ!……ハッしまったですわ」
「オネェと聞いて!」
「おかえりなさいまし。カステラは逃げませんからゆっくりお食べなさい」
「オネェネタはもう終わったよ」
「みなさんがお嬢様言葉を使い続ける限りオネェネタは終わりませんわ!正直ギアステ総オネェ大作戦がこんなにうまくいくなんてびっくりしておりましてよ!」
「え?何言うてんの、お嬢さん言葉ぁ言い出したのはノボリさんで……」
「クラウド、早くしないとカステラなくなっちゃいますよ」
「モゴモゴモゴごくんノボリさん、カステラのお礼にお嬢様言葉推進週間の次のギアステ良化計画考えたんでございますけどぉー、モゴモゴ鎖骨チラ見せクールビズとかどうですかねモゴモゴございますわ」
「あなたホントに良い食べっぷりですねえ、わたくしの分もちょっと召し上がりますか?」
「いただきます!わ!」
「あ、あかんやん、あの人逆餌付けされとるやん、餌さえ与えりゃ部下とゆっくり話できる思うて……クダリさん?聞いてはります?」
「……、え?いや別にあの子がオネェ好きって言ってたからとかじゃないけど……」
「何の話どすか!?」
「あはっクラウドさんは花魁風ですかー?そういうのもいいと思いますわよ!ゲヒヒヒヒ」
「ノボリさんそいつギアステの雰囲気づくりとかそんなこと考えてへんですよ」
「……、え?いえ別にお嬢様言葉が流行ればわたくしのこの言葉遣いが浮かないようになるとか思ってませんけど……」
「あんたら上の空ごまかすために呟いた言葉で本音吐くのクセなんどすか?」
「いいですね!クラウドさんの花魁言葉ナイスですわね!」
「うっさいわ!褒められても嬉しくないどす!」