「てつどういんは体がシフォンですからね!」
「シフォンじゃないよ資本だよ。何なの?君ってケーキなの?おいしそう」
「まっやだぁ今時そんな口説き文句少女漫画でも見ませんよ照れる!」
「口説いてないよ馬鹿なの」
「真顔で言わないでくださいよ傷つくじゃないですか!わたしのガラスのハートが!」
「ガラスのハート?あぁ、強化ガラスのね」
「あんですって、誰が強化ガラスのハートですか!」
「弾丸にも強いってもっぱらの評判だよ」
「ちょっと誰がその噂流してるんですか、しばくぞ」
「カミツレかな」
「わーいわたしのハートは強化ガラスでーす!さすがカミツレさん分かってるー!ひゅー!」
「嘘うそ、えっとね、やっぱノボリ、うんノボリが言ってた」
「許しません、ノボリさんのもみあげ引っこ抜く」
「やめてあげてよ、ノボリこの間ヒゲと一緒にもみあげ片方だけそり落としちゃってすっごい落ち込んでたんだから」
「えっほんとですか!あれってそり落としたりできるんですか!」
「そうだよ、この間ノボリ有給取ってたでしょ。あの日休んだ理由それだから」
「おふたりにもみあげが無いのって想像しがたいんですけど!」
「僕らの特徴ってそれしかないわけ?」
「まぁ正直もみあげなかったらだいぶと印象薄くなりますよね!」
「酷い!」
「ていうかノボリさん、ここ最近別にもみあげ変化なくないですか?いちにちふつかで復活したんですか?もみあげ」
「そうそう、ノボリはむっつりエロ大魔神だから髪の毛伸びるのすっごいはやい」
「ふおーノボリさんスゲー」
「ちなみにここまで嘘」
「くそぅやっぱりでね!どこからですか!どこから嘘ですか!」
「それはねー」
「あ、わたしのハートは防弾ガラスって噂のとこからですね?」
「いや、それは本当だけど。ていうか防弾ガラスじゃなく僕が言ったのは強化ガラス。……でも防弾の方がいいね、合ってるね!」
「そこから本当なんだ……ひどいわーこんな乙女捕まえて……どこの誰がそんな根も葉もないうわさを」
「まかぬ種は生えないよ、つまり噂の種をばらまいたのは君」
「ハン?なんのことか……だってわたしのハートまじ繊細すぎて真綿でくるみまくりですよ?落としたら割れますよ?」
「例えば君がこの、シフォンケーキを」
「ケーキだ!ケーキだ!!クダリさんそんな大っきいのどこに隠してたんですか!お茶にしましょう!今すぐ!」
「僕に差し出して、『シフォンケーキとかドーナツとかの一番おいしい食べ方を知ってますか?』って聞くとするでしょ?」
「あったかいお茶を淹れましょう!ふひひ、あっそうだノボリさんのとっておきのほうじ茶っぱをちょっと拝借して」
「そしたら僕が『もちろん、中身を選ぶことだよ』って言って、君をシフォンケーキの穴から見つめる」
「あっでもこれ、もしかして紅茶のシフォンケーキ?だったら味がまざっちゃうから紅茶がいいのかなー」
「さぁ君はどう思う!」
「えっ?シフォンケーキ食べたいですって思う……ですか?何の話?」
「ほらね、ばか」
「えっ、何が?何で罵倒されたんですかわたし」
「もう知らない!シフォンケーキも僕ひとりで食べてやる!」
「えっやだやだ、あのあの、とても良い話だと思いました!感動しました!特にけがをしたシンボラーをマラカッチがタイプ相性も気にせず助け出すくだり」
「何も聞いてないじゃない!そんな話してないもん!」
「あっあとお菓子の穴から女の子を見つめて食べるよウフみたいなとこはちょっとアメリカンジョークっぽくて口説き文句としてはだめだと思います!」
「よーし僕は怒った、もうこれは一人で食べる」
「やだー!わたしも食べたいー!」
「そうそう、君の心臓のことだけど……口説き文句にみじんも心惹かれない鉄のハートだってもっぱらの評判」
「えー意味わかんない、わたし口説かれたことないですもーん。風評被害よくない!」
「ねぇ……きみ、シフォンケーキと僕、どっちが好き……?」
「ケーキ」
「ほらね!」
「なにがですか!何ふくれてるんですか!怒ってる顔もかわいいですよ!」
「……っかわいいって言われても嬉しくないし!」
「なぁに照れてるんですかかわいいなぁもー!」