「スクールの階段?」


「七不思議です」


「あ、怪談の方かぁ」


「踊場のベトベトンさんとかー、頭が一つ足りないのドードリオとか……教室でぐるぐる回るワンリキーとか!」


「ええと……音楽室から聞こえるポケモンの笛の音とか、えっと夜中に消える理科室のコイキング標本とか?」


「そうですそうです、あと深夜のプールにいるブルンゲルでしょー、こどもの代わりにピッピ人形を連れてるガルーラ、んと、自分のタマゴを転がして遊んでる体育館のラッキー、ゾロアークの無限廊下なんてのもありますよね!」


「今考えると全然怖くないね、小さかった時は結構信じてたけど……頭がひとつ足りないドードリオって要するにただのドードーだし」


「3本目は首だけひょろーっとあるんじゃないですか?」


「コワッ」


「……ていうかー、それはホラーというよりどっちかっていうと事故のかおりがしますね……」


「考えないようにしてたのに!可哀想だからやめて!」


「一体彼の過去に何、いったぁー!転んだ!転びました!」


「うん、見てたよ。気を付けないから根っこに足取られるんだよ」


「ちくしょー!」


「女の子が畜生とか言わないの……大丈夫?」


「あらやだオホホ。ありがとうございますー。……それはそうとー、音楽室のポケモンの笛、って実際あったらすっごい迷惑ですよね?夜中なのにピーヒョロしてたらー、近隣住民のみなさま激怒ですよ!」


「あぁ、爽やかな寝覚めを提供しちゃうよね……」


「朝方に鳴るなら問題ないですけどぉ」


「うん、むしろ町中に鳴り響かせるべき」


「えーヤダ!睡眠時間を他人に管理されるなんて冗談じゃないです!」


「だろうね、君は出勤ギリギリまで寝てたい派だもんね。毎日二度寝してるんでしょどうせ」


「えっ何で急に辛辣になったんですか怖い……あと最近は二度寝してないですよ、三度寝はしますけど」


「この間君が寝坊で遅刻したことを今思い出しちゃったんだよ。それに二度寝と三度寝どう違うの!」


「あっあっアラームの数が違いますもん……あっ、ねぇねぇクダリさん、BPの景品にポケモンの笛の目覚まし時計とかどうですか!すっきり爽やかな目覚め!」


「電子音じゃ効果ないみたいだよあれ」


「?そんなことないですよ、わたしうたた寝してる時とかノボリさんにポケモンのふえ演奏録音したやつ聞かされたらすぐ起きますもん」


「それは音が大きいからでしょ」


「いいえ、そのあとに来るであろうノボリさんのげんこつが怖いからです」


「笛カンケーないじゃん……」


「あっは!……ところでクダリさん」


「なに」


「さっきの話に戻りますけど、スクールに伝わる七不思議って7つ全部知っちゃうと不思議なことが起こるって、だから誰も7つ目を知らないんだって、それは知ってました?」


「知ってる知ってる」


「ねぇ、クダリさん……わたしたち、随分歩いてると思いませんか?……ここ、どこでしょうね?」


「うん、ただの迷子をそれっぽく言ってるだけだよね!それにさっきのやつ七不思議とか言って9つあったし……そもそも僕らスクール違うし」


「てへぺろ!」


「もー、アーケオス連れてくればよかった。そしたらすぐ帰れるのに……」


「まーまー、森のお散歩も楽しいじゃないですかー。あるーひー、もりのーなーかー、くだりさーんにー、でーあーあったー」


「何言ってるの君は…はぁ、君の言葉を信用するんじゃなかったよまったく。全然近道じゃないじゃんこれ……」


「聞こえましぇーん、聞っこえっま……あ、誰かいる!すいませぇぇん!そこの少年!道を教えてほしいんですけど!」


「あっちょっとまた転ぶよ!待ちなさい!」


「へーい!少年!へいへーい!……あれ?」


「はっ、はぁー……もぉー……」


「逃げられちゃいました」


「そりゃ森の中で不審者に追いかけられたら誰だって怖いよ……」


「脚には自信あったんだけどなぁー?」


「あ。あっちなんか白いの……車?車ある。行ってみよ」


「無視ですか……あ、ほんとだー、なにあれキャンピングカー?ですかね?」


「森の中でキャンピングカーって珍しいね」


「走りにくそうですよね……こんにちはー!すいません道に迷っちゃっ、て……あのぉー」


「…………」


「すみません急に、驚かせてしまって……僕ら怪しいものではないんですが」


「…………」


「え?ナニ?あっち?むこうですか?」


「…………」


「あ、ええと。ありがとうございます。まっすぐ行けばいいんですね。行こう」


「お邪魔しましたー!……………めっちゃ不審者を見る目でしたね……」


「痴漢でもにらむような視線だったね……」


「え、クダリさん痴漢したことあるんですかサイテー」


「勝手なこと言わないでよ、するわけないでしょ」


「まぁねぇ、こんな森の中でいきなり人がお邪魔しますとか来たら普通警戒しますわぁー」


「そりゃそうだよね、僕らが悪かっ……あれ……?もういない」


「え?おぉ?!へぇー、今時の車って静かに走るんですねぇ」


「いやいやおかしいって、なんで……だって、木もなくなって、え?」


「あっ!16番道路きたー!キャッホゥ!あーつかれたつかれた」


「ちょっと!おかしいでしょ!なんで君平然としてるの!?」


「えー?そんな大げさな……カズマサさんなんてわたしと怖い話で盛り上がった次の日なんかしょっちゅう変なところに迷い込んでるって言いますよ」


「は、初耳だけど?」


「誰かに誘導してもらえないと駅に着けないらしいんですよー、周りから見ると同じ場所でぼうっとしてたりぐるぐる歩き回ってたりー、に見えるんですけど、自分では全然知らない場所で必死にギャー遅刻するー!って走ってるつもりなんですって」


「何それこわい」


「まぁただの方向音痴で遅刻する場合も多々あるみたいですけど!」


「え、えぇー……うそ……」


「ちなみに今の話途中から嘘でーす」


「ば、ばかー!もう!」


「うひゃひゃ!クダリさんうける!」





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