「はいっ!どうぞノボリさん、おみやげです」


「これはどうも。何ですか?どちらかに行かれたので……本当になんですかこれは。石ですか?石ですよね?」


「ぶひゃ!石って!もー石じゃないですよ、上司におみやげで石拾ってくるってどんな部下ですか、これはチョコです!石の形の!」


「チョコ…?これがですか?」


「ほんとですって、嘘じゃなモゴッ……美味しい!チョコ美味しい!!」


「あぁ、本当にチョコだったのですね。いただきます」


「モゴモゴ毒味役ですかわたし!モゴッ信用されてないんですね全く美味しい!美味しい!」


「ちょっと、もう少し静かに…」


「美味しい!結局これがいちばん甘くて美味しいんだよねモゴモゴ!もういっこ…美味しい!」


「あなたこれ変な薬でも入っているんじゃないでしょうね…大丈夫ですか」


「入ってるわけないじゃないですかーめっちゃ美味しあいたぁ!舌、噛んびゃ、た」


「お大事に。ところでどちらに行ってきたのですか?」


「ほーへん、れひゅ」


「…どこですか」


「ほー、え、」


「傷って舐めると早く治るそうですよ、舐めて差し上げましょうか?」


「わぁいきなり治りました!ノボリさんすごーい!」


「チッ……それで?」


「ホウエンですホウエン、ホウエン行ってきたんですよ」


「ホウエン……あぁ、火山がありましたね、それで石の形のチョコレートなのですね」


「いえ、それは石カフェに行ったので買っただけです」


「……は?石カフェ?」


「えーっノボリさん知らないんですかプスススー!ホウエンには石カフェっていうのがあるんですよぉ、数は少ないですけどチェーン店で…何かどっかの企業が個人と提携して運営?してるらしいんですけど、それが今密かなブームになっててー」


「は、はぁ」


「結構各地からお客さん来てるって行ってました。あと元チャンピオンも常連だとかなんとか…まぁよくわかんなかったんですけど」


「わたくしの分からない世界ですね……あ、展示された宝石の中で寛ぐとかですか?それならなかなか優雅で…」


「いえ、テーブルチャージ料金払ってワンドリンクオーダーしたらあとはひたすら地面とか壁とか掘る喫茶店です!」


「か、金を払って掘削工事をすると!?」


「いやぁ私も最初は躊躇したんですけどねぇ途中でだんだんハイになってきましてね、延長料金も払うほどでした!」


「何してるんですかあなた…」


「そんなわけでこっちはクダリさんへのおみやげです、今いないしデスクに置いといてあげよう」


「待ちなさい、何がそんな訳なんですか、何ですかそれは」


「かみなりのいしですが」


「ただの岩に見えますが」


「やだーそりゃ岩ですよー、だってまだ掘り出してないんだもん!採掘用の岩買ってきたんですよぅ!いやぁ重かった重かった」


「採掘用の岩……?あ、それアベニューにも売ってますねどこかで見たと思ったら」


「な…なんですって!?やられた!」





「あ!そういえば口の中なら自分で舐められますよねよく考えたら!?ノボリさんに舐めてもらう必要ないですよね!?」


「今ごろ気付いたんですか、馬鹿ですか」


「おつか……何の話してるの!?」

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