「……………ありえんほっせぇー」
「はい仕事してー。……何見てるの？」
「ぉえっクダリさん！」
「ちょっと今オエッて言ったでしょ」
「いっ言ってませんよウワッて言おうとして間違えたんです！」
「間違えたってことはやっぱオエッて言ったんじゃん」
「ハハハやだなーあれは『おおー今日もクダリさんかっこエエなぁ』の略ですから」
「なん、そ、君！また適当なこと言って言い逃れようとしてるでしょ！もう！」
「あれれコガネ弁にはノーツッコミですかスルースキルはんぱないですねクダリさんたら！」
「僕が世界一かっこよくて強くて並み居るトレーナーはひれ伏し涙し仰ぎ見るような頂点に立つ存在だなんて！まったくもう調子いいことばっかり言うんだから！」
「えっそんなこと言ってないですけど！？照れツッコミかと思いきやまさかの重ねボケだなんてクダリさん強い！」
「ハンッ、いまさら君に『キャークダリさんチョーカッコイー』って言われたくらいで照れない、バチュルにキスされた方がまだときめく。もう慣れた」
「キャークダリさんチョーカッコイーイケメーン」
「知ってる知ってる」
「……何をしているのですか二人して……」
「キャーノボリさんチョーカッコイー」
「ノボリチョーカッコイー」
「はぁ？」
「はぁじゃないですよノボリさんさっきのマッチョさん誰ですか？彼氏？」
「君って話の出し方すごい唐突だよね」
「どこから彼氏などという発想が出てくるのですか……ビッグスタジアムの方ですよ、バスケットの」
「あぁー、道理で！すごいマッチョだなーノボリさんと並んだらノボリさんがもやしどころか針に見えるなって話してたんですよ、クダリさんと」
「何それそんなこと考えてたの！酷いな！」
「もーびっくりですよ！ヒョロすぎ…！前々から細い細いとは思ってましたけどまさかあれほどとは」
「仕方ないでしょう、比較対象がああいう方々では」
「そうそう、僕らだって普通に……ふ、ふつうに！筋肉、あるし！」
「そこ言い淀んじゃうのダメですよね！」
「ほらほら、ちからこぶ」
「うわコートの腕がぱつぱつに！すごい！ちょっとキモい！」
「キモいとは何ですかキモいとは」
「気持ち悪いって意味ですよノボリさん」
「人に向かって気持ち悪いとは何事かという意味ですよお馬鹿さん」
「キエェェェ！おバカさんってゆったぁぁぁ！」
「腹筋！ねぇ腹筋！」
「はいはいすごいすご……ほっせぇぇぇ！！」
「あっちょっとヤダおしり触らないでえっち！すけべ！」
「そこは腰でしょう、あなた尻どこについてるんですか」
「うわほっせー！冗談みたい、さっきの人の半分くらいしかないんじゃないですか？折れそう！貧弱！」
「ひ、貧弱って……あのねぇ何度も言うようだけどスポーツ選手と比べたらいけない、誰だって細く見える」
「えーうそだぁそれにしたって細すぎですよ……もっと太ったらどうですか？肉輸出してあげますよ肉、ハイわたしのお腹からクダリさんの腰にドーン」
「うっわ超いらない。自分の胸に移動させてあげれば」
「暴言！」
「クダリ、それセクハラですからね」
「そうだそうだ、せくはらだー！」
「ノボリの腰撫でながら言うセリフじゃないからそれ」
「嫌がってないからいいんですよ、合法合法ー。和姦」
「わっ……和姦とか言わないの！」
「別にいいですよクダリ、もう慣れましたから」
「なんてことだノボリがまるで悟りを開いた顔をしている」
「調教のたまものですよねうっふーん」
「ヒトモシにロウを垂らされる方がまだ興奮しますね」
「えっそれは聞き捨てならない情報ですよ」
「あれでしょ、肩こりのお灸替わりでしょ」
「首痛めてる系イケメンなので、わたくし」
「何言ってんのノボリ」
「キャーノボリさんカッコイー」
「知ってます知ってます」