「…………楽しそうですね?」


「あ、ノボリさん。ぼんそわー」


「はい。何してるんですか、昼間からアルコールですか」


「これはぶどうジュースですよ」


「何故そんなものをワイングラスで飲んでるんです…小学生ですか…」


「小学生の時にできなかったから今やってるんですよ。洋酒より日本酒派だったんでワイングラスとか家になかったんです」


「そうですか。聞いてませんけど」


「ノボリさんも飲みます?」


「飲みません」


「おいしいのに…」


「ワインごっこなぞしなくても、ワインを飲んだらいいではありませんか。今夜どこか行きますか?」


「分かってないですねぇノボリさんったら!ジュースをあえてグラスで飲むのがかっこいいのに!」


「申し訳ないですが理解できませんねぇ」






「わぁ……きれい………」


「うっとりしてるとこ悪いけどそれカビだからね、捨てるよ」


「ぎゃっ!酷い!止めてくださいぃー!」


「だめ!カビ放っとくと他のにうつる!他のもカビる!捨てる!」


「やだやだやだやですよぉぉー!せっかく育てたのに!」


「育ててないでしょ!たまたまさっき戸棚から出てきただけでしょ!捨てます!」


「わたしのオレンジー!」


「カビちゃったんだから諦めて!っもうとっくに食べれない!」


「ああっ!せっかく白と黒で綺麗なカビ生えてたのに!」


「はぁ!?綺麗じゃないでしょっていうかもうこれぐずぐず、あぁもう!」


「やだぁぁっおふたりがいないときはわたしそのカビ見ながら寂しさ紛らわすんですぅぅぅ捨てないでぇぇぇ」


「色が合ってればいいの!?僕らはカビと同列なの!?」



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