「言い訳したいなら聞いてあげますよ、アン?お好きなだけどうぞ。録音してますけど」


「だ、だから」


「黙らっしゃい!証拠はあがってんですよ、偶然にも現場を録画してて下さった方がいらっしゃいましてねぇ!あなたが痴漢行為をはたらく所、ばっちり撮れちゃってるんですよ!まぁその人もそれ実は盗撮野郎だったわけできっちりポリスメンに突き出す予定ですがね!!捜査協力してくれたのと犯罪を見逃すのはまた別の話ですものね!ってなに話逸らしてんですかあなた!今はあなたが痴漢した話をしてんですよ!」


「あ、あんたが勝手に違う話しゃべり出したんだろ!」


「ハイ?聞こえません」


「だから」


「なにやってるの………」


「あ、クダリさん。待ってました。こちら、痴漢さんです」


「うん、それは内線で聞いたけど。……君ここで何やってんのさ」


「見ての通り犯人を逃さないように見張ってますが」


「…ひとり?ノボリは?」


「ノボリさんはまだ来てないですよ」


「ていうか君、制服は?」


「わたし今日ほんとはお休みだったんです」


「あ、そっか。……え、じゃあ何でここにいんの」


「ミュージカル見ようと思って電車に乗ったんですけど」


「あぁ、それで痴漢見つけて確保したんだね」


「いいえ、わたしが痴漢されました」


「……………あ゛?」


「ヒッ」


「君……なに、この子に痴漢……そう、僕らのテリトリーで痴漢しようなんて、良い度胸してるね」


「そうですよ、なんて事してくれてるんですか。お客さん減ったらどうしてくれるんですか」


「お、俺だって客だろうが!その女にビンタされたんだぞ!駅員が客に暴力ふるうのか!」


「ッ痴漢したのは君なんでしょ!何開き直ってんのさ!」


「…………てんめー…この野郎腐り落ちて不能にな、れっ!オラー!」


「は、ちょ」


「いってー!ンのアマ!駅もろとも訴えるぞ!」


「え?何言ってんですかぁ意味わかんない……だってぇ、わたしこの駅とは何の関係もない一般人ですよぅ?ほら、制服着てないし?ていうかそもそもおじさんに暴力なんて振るってないし??」


「いま蹴っただろうがぁ!痣になってるぞ!見ろ!証拠だ!」


「お、おぉー…?どうしよう、止めた方がいいかな…でも自業自得だよね…」


「何のことやら……わたし、おじさんに痴漢されてびっくりして思わずスネ蹴っちゃって…その時の痣じゃないですか?あのときはごめんなさいびっくりしちゃってー」


「嘘つくんじゃねーよ!」


「すみませんただいま参りました」


「ノボリ遅いよ!」


「ていうかあんたさっきからやたら態度でかくないですか?こっちには動かぬ証拠があるんですよ?」


「でっ電車の揺れでたまたま手があたったんだろ!事故だ!」


「何事ですか?痴漢だったらさっさと警察に引き渡してはいかがです、時間の無駄じゃないですか」


「いやぁそれがね、なんかね、被害者ってね、」


「はぁぁ!?たまたま手がお尻揉むもんですか、ふざけんなー!」


「…………被害者、彼女ですか…」


「うん、そうみたい…ノボリ、落ち着いてね」


「何がです?わたくしは大丈夫ですが」


「そう、よかった」


「偶然だ!事故だ!俺は悪くない!」


「じゃあちょっとわたくしリゾートデザート行ってきます」


「え?何しにいくの?」


「偶然で尻鷲掴まねぇでしょうがぁぁぁぁ!!」


「ドリュウズに穴掘って貰ってきます。少し大きめの…そうですね、成人男性が楽に入れるくらいの穴を」


「ノボリ、早まっちゃいけないよ」


「何を言ってるんですか、わたくしまだ死ぬつもりなどございませんよクダリ……。お客様、少々わたくしにお時間頂けますか?別室で詳しいお話伺いたいのですか」


「ノボリィィィィ何する気なの!?」










「ふんだ、警察でこってりしぼられるがいいわ」


「お疲れさま…災難だったね」


「ほんとですよもう、ミュージカル結局行けなかったし!」


「うん……あのね、もうあんなことやっちゃダメだからね」


「うー…すいません、でもあれ結構我慢した方なんですよぉ…蹴ったのもお腹とかじゃなくスネだし…」


「いや、そっちじゃなくて」


「そっちじゃなくて!?」


「うん、あれはぶっちゃけざまぁって感じだったしね!」


「ですよね!」


「そっちじゃなくてね、痴漢と二人っきりで部屋とか駄目だよ。きみ女の子なんだからね。しかも今回は君が被害者だったんでしょ。………危ないじゃんか。何かされたらどうするの。変な事とか、暴力とか」


「その前にぶん殴ります。実際痴漢された時もひっぱたいたし」


「……あのね。君が考えてるより結構男って力、強いから。ダメ。危ない事しないで」


「んー…。すいません、以後気をつけます」


「うん」


「まーあれですよ、もしも無理矢理やられそうになったらその時は」


「うん?」


「噛みちぎる」


「い……っ!あ、そん、その気の強さは君の長所だと思うけど!」


「あはは、病院行ったら自分がしたことお医者さんに話さなきゃいけないしィー、噛みちぎられたって警察に届けることも出来ないしィー、完全犯罪?みたいな?あ、正当防衛かなー。刃物で切ったならまだしも噛みちぎった断面なんてずったずただからくっつかなくてきっと一生不能ですね!」


「うわぁぁぁぁ想像させないで、ていうかだからさ!そうじゃなくてそういう状況を作らないでねって言ってるの!」


「あはは、はーい」





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -