「常々思ってたんですけど冬はカップル発生率が異常だと思いませんか?」


「なんです藪から棒に」


「思いませんか?」


「思、」


「やっぱり!そうですよね、何であんなに増えるんでしょうね、わかめかよ」


「…寒いと人肌恋しくなるのではないですか?と言うかあなた早く自分の持ち場に戻ってくださいまし」


「リア充どもが改札機にきっぷガシャコガシャコするのを見るだけの仕事はもう飽きました!だいたい何のためにあんなの見てなきゃいけないんですか…それにもう今日は人来ませんよ、あとちょっとで終電だし」


「だからといって職場放棄していい理由にはなりません」


「…………、はい、今改札閉まりましたー。終業でーす」


「あなたという人は…!」


「それでですねノボリさん、話を戻しますけど」


「その話長くなるようならわたくしこれで」


「ちょちょちょ…!ノボリさんに話してるんだから帰っちゃダメに決まってるでしょう!」


「手短にお願いしますね、このあと少々用事が」

「まさか恋人と?鉄面皮なのにやるじゃないですか…ごめんなさい睨まないでください!いやあのですね、私カップルだけがクリスマスリア充ではない、と思うのです」


「ははぁ」


「あ、ちょっと待ってくださいノボリさん!歩きながらでいいから聞いてくださいよ!」


「聞いております」


「そうですか、無表情すぎてわかんなかったです!それでですね、クリスマスに同性の友達で集まって飲み会とか、あれも立派なリア充ですよね!けっ!そのくせ『リア充爆発しろ』とか言ってんですよ!あ、これ私の友達の話なんですけど!あぁリア充やだやだ!もう私一生ストイックに生きてみせますし!汚らわしい!リア充汚らわしい!」


「はぁ」


「あっノボリー!遅かったね!お、一緒だったんだ!改札にいないから探しちゃったよー」


「クダリさんお疲れさまです!何か私に用があったんですか?すみませんお手を煩わせました」


「いいよいいよ、よしじゃあ行こっか!」


「え、行くってどこに、」


「あれ?ノボリ、誘ったんじゃなかったの?」

「これからは飲み会などには参加せずストイックに生きられるそうですよ」


「えぇー…そうなの?せっかく美味しいお店とったのにー」


「何言ってるんですかノボリさんったら冗談はよしこさん!無表情でとんだお茶目さんなんだから!」

「なんて変わり身のはやい」








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