「あ、あぁぁやばいこれ……ッひ!」

「ちがうって馬鹿、そこでその鍵を使うんだって!」

「あっあっ何か変な音するぅぅぅぅこわいよぉぉ」

「カメラ切り替えてカメラ!後ろ写して!」

「どれ!?どれでカメラ切り替えるんですか!?」

「君がいま右の人差し指で触ってるやつだよ!」

「よ、よーしこれかぁ、せーの、せーの、せー………やっぱ駄目です怖い!!無理!!」

「何やってんのもう、貸して!」

「やだ、やだー……っ、クダリさん後ろ見ちゃだめ……!」

「だいじょーぶだってば、多分…」

「あなたがた随分と楽しそうでございますね……???」

「「アキャアァァァァァァァァァ出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」

「やかましいです!わたくしですよ馬鹿ども!」

「あぁぁぁぁ…あ…あ、な、なんだぁノボリさんじゃないですか、驚かせやがってびっくりしましたよケッ」

「ひ、あは、はは……なんだぁノボリか……、ありえねー何そのタイミング、いや僕は全然びっくりなんてしなかったけどねクソが」

「何か非常に不穏な言葉が聞こえたような」

「何してんですかノボリさん、こんな夜遅くに」

「それはわたくしのセリフですが。あなたたちこそどうしてまだ帰っていないのです。コタツなど持ち込んで……しかもゲームまで」

「だってさー、今日さー、僕の好きな番組1時からスペシャルやるんだもん」

「そーそー、でも家に帰ってからじゃ間に合わないからここで見るんですよぉー」

「「ねーっ」」

「………録画すればよろしいではないですか」

「!?」

「アッ」

「え……何ですか、まさか思いつかなかったとか…」

「いっけねー、そう言えばそうでしたね!」

「そーか、録画すればよかったんだー……」

「まぁいいじゃないですかー、せっかくだし」

「だよね!録画より臨場感あるよね!ね、ノボリもみるでしょ?」

「はぁ……」

「ここ座って下さいどーぞっ、もうそろそろ始まりますから!」

「みかんあるよ、はい」

「あぁ、ありがとうございます」

「楽しみだねー」

「ですねー!」

「さっきやってらしたゲームは何だったんですか?」

「んっとー、ホラーゲーム!」

「はい!ドキドキわくわく脱出系ホラゲーです!」

「ホラー…」

「やっぱテレビ始まる前から気分盛り上げておきたいもんねー!」

「え、じゃあこれから見るのってホラー、」

「ですよね!もうわたしドッキドキすぎてやばいですよぉ、番組始まったら怖くてトイレ行けないレベル…」

「えー!あはは、それ大丈夫なのぉ?今のうちに行っとけばぁ?」

「そですね、トイレ…ちょっと行きたいかも………いやでも既にこの時間トイレ1人ってのも、怖い」

「わたくしお先帰らせて頂きますね」

「あっはははやだノボリさんったら、離脱なんて許さないですよー!そんじゃわたしトイレ行ってきま……………アレ?」

「何?どした?」

「どうしました」

「ノボリさん鍵下さい」

「え?何のです」

「ドアの。ノボリさんが持ってるんでしょ?入ってくるとき鍵開けたでしょ?鍵、ノボリさんでしょ?」

「はい?違いますよ」

「え、だってドア……………鍵掛ってますよ、開かない」

「…………君」

「はい」

「あのね、………ドアは外側に鍵穴、付いてるから。内側からはサムターンで開くの。いつもそうやって鍵かけてるでしょ」

「……やっぱりですか?あの、サムターンっていうんですねこれ、サムターン的に言えばこれ、ドア、開いてるはッヒィィィィ!?」

「なっ何!?ていうか君見事なスライディング!怪我してない!?」

「どっどどどどドアがぁ、かりかりかりって、いったぁぁぁぁぁあわわわわわ」

「え、えー」

「カリカリ?物音ですか?……おかしいですね、駅にはもうわたくしたちしか残っていないはず……またあなたお得意の聞き違いでは」

「ノボリ尋常じゃない汗だよ暑いの?」

「うわーん!何なに何ですか何なんですかー!こわいよー!」

「悪霊退散悪霊退散」

「あぁどうかお願いします上司二人はどうなっても良いから私だけは助けてださいもう仕事サボらないからお願いしますお願いします」

「ちょっとコタツの中で何してんの君、ガタガタするからやめてお茶こぼれちゃう」

「クックダリ!あなたちょっと外見てらっしゃい!」

「いってらっしゃいクダリさん、クダリさんのことわたし忘れません……」

「腰ぬけだなぁ二人とも……おい抱き合うのやめろイラつく」

「ひぃぃぃぃクダリさんはやくぅぅぅぅぅ」

「こっこれはこの方を抱きしめたいから抱きしめているだけであって、決して怖がっているわけではないんですからね!」

「ノボリ色々と間違ってるよ……はいはい見てくるってば」

「んぎゃぁぁぁぁクダリさんがしんじゃうぅぅぅふがいない部下ですいませんでしたごめんなさいごめんなさい」

「あわわわわクダリ、あなたはとても良い弟でした…!」

「ばかみたい!………!?」

「ひっ」

「んぎゃぁぁぁぁぁぁコンコンていったぁぁぁぁぁ怖いよぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「なっなんですかあれ、何かガラスの向こう光ってませんか!?」

「わぁぁぁぁんヒトダマだぁぁぁ怖いよぉぉぉ」

「灯り…?なんで?」

「うっうっ死ぬ前にテレビ、あれ、見たかったよぉぉぉしんれーしゃしんとくしゅー……!」

「あっあなたこんな時によくそんなこと言えますねっ、ていうかしっししし死にませんよ、縁起でもないこっ、こここと言わないで下さいまし!」

「……ん、ホントだ鍵掛ってる……ん?あ!聞こえる?離れててね」

「ぼそぼそ何に話しかけてるんですかクダリさん!?」

「…………よッ!」

「ひぎゃぁぁぁぁ蹴ったぁぁぁぁ!!ドア蹴ったぁぁぁぁぁ!!」

「クダリィィィ何してるんですかぁぁぁ入ってきたらどうするんですかぁぁぁ」

「きゅーん……きゅわぁぁぁぁ」

「……シャンデラ?」

「え、…ノボリさんの?」

「よーしよしよし、可哀想にね、ノボリに廊下へ置いてけぼりにされたんだねー」

「ノボリさん……?」

「きゅわぁぁん」

「…ハッ!?そ、そういえば!」

「えぇぇぇノボリさん酷い!」

「すみませんシャンデラ!……寒かったでしょう?おいで」

「きゅー………きゅうぅ」

「ぐす、感動の再会ですね…!」

「いやそれは違うから」

「あぁもう、迷惑な!怖かったですよー!あ、そういえばクダリさん。何でドア開かなかったんでしょう?シャンデラがドア押さえてたってこと?」

「んーとね、多分ね、……ここ、」

「うわ、なんじゃこりゃ」

「鍵のとこ、開けようとして溶かしちゃったんだろうね……それで変なふうに固まって、開かなくなったと」

「なんだぁー」

「あっ!」

「え、なななんですか?どうしたんですか?」

「………テレビ…!………あ、あーあ…終わっちゃってる」

「いやもう良いじゃないですかそれは………」





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