「あーこれいいなぁ……うん、やばいこれすっごい良い…うーん……」


「何見てるのー?ファッション誌?」


「いえ、コレですよぉこれこれ」


「……て、転職誌……!?」


「ハイ」


「な、なんで?バトルサブウェイ嫌?誰かにいじめられたの?や、や、やめちゃう?」


「えっ?いや、ちが」


「………ノボリー!!ノボリ、大変!大変だよぉぉぉぉ!!!」


「ちょ……待って下さいクダリさぁぁぁん!どこいくんですか人の話最後まで聞いて!」


「ノボリー!ノボリィィィィ!!」


「なんですか騒々しい!シングルトレインのホームまで聞こえてきましたよクダリ!」


「大変だよぉぉバトルサブウェイ存続の危機だよぉぉぉ待遇悪いんで辞表を提出させていただきますってこの子がぁぁぁぁぁ」


「えっ待って待って私そんなこと言ってないです!」


「辞表!?待遇ってそんな、あなたそんなにこの職場がお辛かったので…!?わ、わたくしもついあなた相手には軽口のつもりで厳しい事を申したかもしれませんがどうか思いとどまって下さいまし、せめて詳しい理由を!」


「そうだよ突然やめるなんて言わないで!ていうかバトルサブウェイ勤務って相当イイよ転職しないでよ思いとどまってよ!ノボリの写真も好きなだけ撮らしてあげるから!」


「だから、」


「ハッ、まさか利用客に痴漢行為でもはたらかれましたか……!?どうしてその場で報告して下さらないのです、そのような輩、即刻警察に……いえ、警察など呼ばずわたくしがこの手で葬り去ってさしあげますのに!」


「改札のお仕事が辛いならサブウェイマスターの権限を持って異動させて上げるよ??景品交換所がいい?ホームの案内?それとも清掃の仕事がいいの?運転手がしたい?あ、カナワ配属は駄目だからね!」


「さぁ、話して下さいまし!」


「なんで転職なんて考えたの!」


「………………………あの…………」


「どうしたのです!」


「どうしたの!」


「ただ……この…雑誌のこのページの女の子が………………………ニーソとミニスカで絶対領域見せつけてたから、ウホッそそるわぁいいなぁオイって、思………あの、ホントすいません」


「………………」


「………………」


「…………クダリ?」


「…………えへっ?なーに、ノボリ?」


「ま、まったく転職など考えていないではありませんか……!」


「だだだだって転職誌見ながらいいなとか言ってたら勘違いするじゃん……!」


「ねーねークダリさんそれよりもノボリさんの写真好きなだけ撮っていいって言いましたよねっねっねっ、撮っていいんですよね!ね!」


「ハァ?何をおっしゃっているのです、駄目に決まっているでしょう馬鹿が」


「えっ何かノボリさんが急に辛辣になった!さっきまで辞めないで下さいましって泣き縋ってたのに!」


「いや泣いてはいなかったでしょ」


「誰があなたの退職など止めるものですか、いなくなったところで気にも留めませんね!フン!」


「なぁぁぁにが気にも留めませんねですか、私がいなくなったら寂しいくせにー!」


「寂しい?誰がですか?意味がわかりませんね!」


「はー!?あーもうそんなこと言うんだったら辞めてやるんですから!ギアステーションなんて辞めてやる!辞めてやるー!」


「えっヤダ僕は辞表なんか受け取らないからね」


「ハン、あなたのような変態、他のどこで受け入れてくれるというのですか、ちゃんちゃらおかしいですね」


「何言ってんですか私まじ有能すぎてどこの企業行っても一発採用ですし?余裕ですし?」


「あなたには改札口で日がな一日お客様のご案内をしているのがお似合いです!一生そうしてなさい!」


「一生ー!?やですよ一生改札なんてどんだけ寂しい人生なんですかバカー!今に見てて下さいよ寿退社してやるんだから……!」


「寿退社?ハ、あなたのような方を見染めて下さる方がいるといいですねぇ……?」


「うっさいですノボリさんのバカー!」






「バカって言われました、わたくし仮にも上司ですのに……バカ…」


「ノボリ……ばか?」


「ば、馬鹿とはなんですか!馬鹿ではありませんよ!」


「はぁー、そうだねぇばかじゃないね、真正のアホだノボリはアホ」


「なんですかわたくし貶されてるじゃないですか」


「大丈夫だって、あの子どっかに行ったりしないよ」


「ま、まぁそうですね、あんなのを何処が好き好んで採用するでしょう、そりゃそうです、ええ」


「うん、僕ら以外にあんなエキセントリックな子、選ばないよ。ダイジョブだいじょぶ」


「ええ、そうですね……………僕ら?」


「うん」


「あー………僕ら?」


「うん!」






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