「はい、これあげるよ」


「わーい!ありがとうございます!……何ですかコレ」


「いのちのたまだけど」


「あぁ、いのちのたま……え?何でですか?」


「何でって?」


「これ受付のとこでポイントと交換してくれる奴じゃないんですか?私に渡していいんですか?」


「プッなにそれ、おやじギャグ?」


「え?」


「ん?」


「………まぁいっか!それでー、何でこれ私にくれるんですか?よこながし?それダメじゃないですか?」


「人聞き悪いなー、それ破棄するやつだもん、いいの」


「破棄?何でですか?」


「よく見て、ここヒビ入ってる!搬入の時にこうなっちゃったんだと思うけど…お客さんに不良品渡せないでしょ」


「……あ、ホントだ!こんなちょっとなのにもうダメなんですね……少しかわいそうですね、綺麗なのに」


「そう、だから君にあげる!有効に活用してね、僕のいのちのたまだからね」


「あれれどこかで聞いたようなセリフ……ていうか有効に活用って言われても、そもそもこれどうやって使うんですか?」


「君トレイン乗らないもんねぇ。砕いてアクセサリーとかに加工したら?」


「おお!ちょっとイイですねそれ!じゃあ……そうだなー、ヒウンのアトリエとかで頼んでみるとか……んー…」


「かえんだまとかじゃなくてよかったね、発火するアクセサリーとかつけたくないもんね!」


「は……?は、発火!?こわ!」


「うん、もしこれがかえんだまだったら、アクセサリーとかにできないと思う。火傷しちゃう」


「え、えー……なんと恐ろしい……」


「まぁいのちのたまもじわじわ体力削られるけど」


「は?」


「身につけてるだけでどんどん体が重くなってくる、呪いのネックレスの出来上がりー」


「んぎゃー!なんてもの作らせようとしてんですかクダリさん!ひっどー!」


「うそうそ、人間には効果ないよ!大丈夫!」


「ほんとーですかぁー…?」


「ほんとほんと!だってホラ、現にいま君ずっとそれ手に持ってても何にもなってないじゃん、大丈夫だって」


「あ、そっか。じゃあ大丈夫なんだ!ねぇねぇクダリさん、ヒウンのアトリエでアクセサリー加工やってくれますかねー?」


「さぁ……聞いてみたら?出来ない事はないと思うけど」


「えっへへ、アクセサリー出来るよって言われたら、ネックレスとピアス作ってもらいたいです!いのちのたまアクセとかおっしゃれー」


「いいねぇ」


「そしたらクダリさんにピアスの方あげますね」


「え?いいの?」


「はい!あ、どうせだからノボリさんにもピアスプレゼントしましょうかね」


「あぁー。そりゃノボリ喜ぶねぇ」


「私がネックレスでー、ノボリさんとクダリさんがピアス!わお、三人お揃いー!」


「お揃いー!」


「おふたりが一週間以上いのちのたま身につけて、それでも体調が悪化しなかったら私もネックレスします」


「僕ら実験台じゃん!」


「何言ってんですか人聞きの悪い……アレですよ、アレ………アレ、ほら、ね?アレね?」


「実験台でしょ?」


「ち、ちがいますよー…?」


「ふんだ、もういいよ別に実験台でも何でも」


「怒っちゃいやん、クダリさんったら!大丈夫ですって、人には効果ないんでしょう?クールダウンクールダウン、えーいおなかツンツーン!」


「今すごくイラッとした!…あ、これ……おまんじゅう食べる?」


「食べます食べます!わーいいかりまんじゅうだー!いただきまーす!」


「おいしい?」


「ハイ!」


「そっか。それ実は賞味期限が昨日で切れてるんだけどね」


「………うおぉぉぉーい!何でそういうもの渡すんですかー!」


「変な味しないならよかった!アハハ!」


「……まぁいっか!消費期限じゃなく賞味期限だし!クダリさんもういっこ」


「え、まだ食べるの」


「ハイ!」


「それ賞味期限切れてるんだよ?」


「クダリさん何軟弱なこと言ってるんですか、賞味期限一日くらい過ぎたって大丈夫ですよ……ただし食べるときは自己責任でね、おなか壊したとか言われても私は知りませんからね。まんじゅううんまー」


「…………クッソ、僕も食べたいー!いただきます!」


「おーほほほ、これで何かあった時はクダリさんも道連れですね!」


「んむ、なんでそういうこと言うかなー!」


「おや、楽しそうですね」


「あ、ノボリさん!お疲れ様ですー」


「ノボリも食べる?おまんじゅう」


「いただきます」


「……ちょ…クダリさんそれは…可哀想じゃ…」


「…大丈夫じゃない?ていうか自分も食べてるのになんで可哀想なの」


「だって…知らないで食べさせるのはちょっと…後からグチグチ言われたらやだし。そもそもノボリさん何かおなか弱そうで怖いんですけど」


「………………うん、まぁ大丈夫だよ、多分。食中毒とかなんないよ、多分。多分」


「イーヤー!怖いこと言わないで下さいよ……!」


「お茶が欲しいですねぇ…」

「あ、ハイ!ただいま!」


「……え、緑茶じゃなくってコーヒー淹れるの?おまんじゅうにコーヒー?」


「おーいちごーなな?とかの予防にコーヒーいいのよって祖母に言われたような言われなかったような」


「あ、あやふや…」


「めっちゃ濃いの淹れてあげましょう、ノボリさんだけ特別にね!」


「待って待って、ノボリ泣いちゃうからやめて上げて」


「どうしてです!これでノボリさんに入院とかされたら私が泣いちゃいますよ!クダリさんだけじゃギアステーションまわせませんよ!」


「お茶まだですかー?」


「はい!出来ましたよぉノボリさんだけ特別です!私のまごころがたっぷり詰まった特製コーヒーです…!」


「…ど、泥水じゃないですか…!何故わたくしのだけこうなのです!?おおかた遊びでインスタントコーヒーを山盛り入れたのでしょう!」


「ぎゃん!ふ、深くは話せませんがこれは私なりにノボリさんの体を気遣った結果で…!」


「どこの世界に気使いで泥のようなコーヒーを出す馬鹿がいるのですか!」


「く、クダリさんが悪いんですよう!せつめーせきにん!」


「説明責任?何のことです!コーヒーとどんな関係があるというのですか!答えなさい!」


「あぁぁぁもうこれ僕知ーらない…!」





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