「わー!笹!」
「え、君知らなかったの?」
「え?」
「今月の初めっからここにあったよ」
「知りませんでした…!!」
「こんな目立つとこにあるのに!」
「いやあ、どーもどーもあっはは」
「せっかく頑張って運んだのにー」
「あ、クダリさんが置いたんですか」
「そーだよ」
「へー…短冊いっぱいですね!これって…見てもいいと思います?駄目ですかね、やっぱ」
「いいんじゃない?」
「やった!なになに…『リア充爆発しろ』」
「物騒」
「爆発は周りに迷惑だから爆縮がいいんじゃないですかね、飛び散らない方向で!」
「……?」
「つーぎ!えっと、『休日欲しい』」
「サラリーマンかな?ギアステーションでバトルできる時間があるなら休日十分あるでしょ」
「…駅員の誰かが書いたお願いごとだったりして…クダリさん休日もすこし欲しいです」
「無理、これでも君たち多い方だと思うけど」
「年中無休のサブウェイマスターにそんなこと言ってすいませんでした」
「いやそれは僕らが好きでやってるからいいんだけど」
「次はー、っと。『トウコが俺のポケモンまでじしんの餌食にするのやめてくれますように』」
「それトウヤのだ!」
「間違いないですね!」
「トウヤ…」
「本人に直接言ったらいいのに…!」
「トウコの方が立場上なのかなぁ」
「お姉さんなんですかね、そういえばどっちが上か知らないなー。…うわ、なにこれ!」
「なーに?何て書いてあるの?読んで聞かせて!」
「いやあの、短冊が何枚も重なってるんです」
「うーわ」
「『××と結婚したい』」
「ばつばつって誰だろう?」
「さぁ…?ばつ…うーん。…で、その上に重なってる短冊は『××と付き合いたい』」
「あ、ちょっと妥協した!」
「ぶっ、くくく…クダリさん、その上のはもっと妥協してますよ!『××と事故でいいからキスしたい』」
「事故なんて言わないで奪っちゃえ!」
「奪っちゃえー!更にその上は『××に抱きつきたい』」
「抱きつけばいいのに…」
「シャイなんですね…」
「その上には?まだあるの?」
「ありますあります、『××と手をつなぎたい』」
「何こいつ童貞?」
「いや、女の子かも」
「あーそれならかわいい…かな?うん」
「その上ー、は、『××ともっと普通に話したい』」
「…普通って何」
「何でしょう…あ、その上のが『××と話す時にツンツンしてしまうのやめたい』」
「あー、ツンデレだ!」
「ですね!やだかわいい頑張って!」
「まずは些細なあいさつとかから!」
「あーゆれーでぃー?」
「次は?」
「えーと、『もう××が隣にいてくれて話せるだけでいいからお願いします』」
「…かわいそうになってきた」
「相当志が低くなっちゃいましたね…最初は結婚とか言ってたのに」
「応援してあげたい」
「そうですね!あ、でー最後、一番上に重なってる短冊に書いてあるのが『世界平和』」
「ふっきれた!ふっきれたよ!!」
「諦めちゃダメ!ツンデレちゃん諦めちゃダメですよ!」
「この子誰だろー、はは、会ってみたい!」
「私もー!」
「あ、そーだ。君も書く?」
「ん?」
「短冊」
「え、書きます書きます!」
「はい紙とペンどーそ」
「ありがとうございます!」
「何お願いするの?」
「えーっと…」
「…あれ、ノボリいたの?」
「………ええ、まぁ」
「ノボリも書く?」
「あ、いえ…」
「できた!『宇宙掌握』」
「完全にネタじゃん」
「世界平和と同じようなもんです、定型文です」
「(ビクッ)」
「さーどこに吊るそうかなー」
「さっきのの隣に吊るそうよ!」
「おーいいですねぇ、世界平和と宇宙掌握!」
「壮大だね!」
「そうだ、ちっちゃく隣のこの人の願いがかないますようにって書いておいてあげよう」
「やさしーね!」
「むしろ傷を抉ってますやめてくだ……可哀想なのでやめて差し上げて下さいまし」