「ではわたくし先にトレインの方へ向かいます。クダリも早く戻るように」


「わかった」


「いってらっさーい」


「…………はー、どうせ挑戦者めったに来ないのに」


「ノボリさん口内炎出来てましたねぇ」


「え、なんでそんなことわかったの怖っ」


「さっき喋ってる時に…」


「普通気づかないでしょ…どこに出来てた?」


「舌」


「ベロかー」


「なんで言いなおしたんですかベロって」


「他意はないよ!」


「そうですかー」


「舌、ベロ…あ、そーだ」


「んむ?クダリさんどうかしました?」


「えっとさー、その口内炎ってさ、舌先にあったんじゃない?」


「えー?えっとー、はい。何だークダリさんも気付いてたんですか?」


「んーふっふふ、それさぁ、実はね…」


「何ですか?何か秘密が!?」


「…ピアスホールなんだ」


「ピ…アスホール…!?」


「いやーノボリも昔は結構ハジけてたからさぁ」


「嘘ォ!?ノボリさんが!?えっ、ホントにピアス?舌ピ?」


「そうそう、あと服で見えないけど脇腹にタトゥーいれてるし」


「ノっノボリさんが!?」


「でも口ピはしないんだって!何でかって聞いたらキスの時邪魔だからって言って…あいたっ!!」


「早くトレインへ向かいなさいと言ったでしょうにクダリ!」


「うわ、ノボリ!!」


「ノボリさん、舌ピ開けてるんですか!?」


「は?」


「あっちょっと!」


「昔はヤンチャしてて深夜徘徊ザラで毎日ヤンキーと喧嘩三昧だったんですか!」


「えっ僕そんなこと言ってないよね!?」


「…クダリ?」


「…えへっ」


「あることないこと吹き込むのはやめてくださいましと言ったでしょうが!」


「だってこの子簡単に信じ込むから面白くって…」


「釘バット片手にバイクで走り回ってたんですか!?」


「クダリ!何とかしなさい!」


「ごめん嘘!それ全部うそ!」


「でもピアスホールあったじゃないですか!」


「ピアスホール?」


「口内炎だってば!ねぇノボリ」


「うっそだぁ、ピアスホールですよきっと!」


「何がです?」


「舌に口内炎できてるよね?」


「ああ、ご存じでしたか。いけませんね、最近規則正しい生活習慣が守れていないようで」


「えー、じゃあ本当にただの口内炎?」


「そうです」


「見せてください」


「は?」


「口内炎」


「はぁ………」


「おおー…痛そう!」


「君たちすっごい変な光景」


「つんってしてもいいですか?」


「舌を!?いやいやよくないでしょ、しかも口内炎だよ、痛いじゃん」


「だめです」


「だよねー」


「うーん…うん。本当にただの口内炎ですね。なんだーつまんなーい」


「つまらない男で申し訳ありませんね」


「ちょ、何もそこまで言ってないじゃないですかノボリさん」


「何、ノボリ舌ピしたい?開けてあげよーか、安ピンとかで。やったことないけど」


「結構です、あなたに任せるだなんて恐ろしい。ほらトレイン行きますよ!」


「いってらっしゃーい」


「…あれ、君も改札立たなくていいの?」


「あらら、バレましたか。はーい、ちゃんと行きまーす」





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