「ん?それ何?その袋。なんか作ってきたの?」
「ふふふ…気づきましたか!これはですね、クッキーです。昨日作ったんです!」
「わぁー、クッキー!」
「お茶うけにでもなるかなって思いまして。おひとついかがですかクダリさん」
「食べるー!じゃあ僕お茶淹れるね!ダージリン?アールグレイ?アッサム?…と思ったけどヌワラエリヤしかないや、これにするよ」
「は?何?なんですって?」
「ヌワラエリヤでいいー?って聞いたのー」
「えー?ヌワー?」
「ヌワラエリヤ!」
「…クダリさーん、それはちゃんとしたお茶ですかー?」
「当たり前じゃん、調べてみなよ」
「うっそだー、そんな変な名前の紅茶…あ、ホントだ。ヌワラエリヤ!」
「ねー?」
「ストレート向きって書いてありますね!」
「うん、だってクッキーと一緒に飲むんでしょ、ストレートが良くない?」
「ダウトー!さっきこれしかないって言ってたでしょうクダリさん!」
「あはは、バレた?…はーい、お茶はいったよー」
「おぉー…いい匂い!」
「でしょ!」
「あ、クッキー出しますね」
「わー!……わぁ」
「どうでしょう?」
「…独創的なクッキーだね。あの…色と形が絶妙にマッチしてる」
「いやぁ…薄ピンクにしたくって食紅いれてみたんですけどね、あれって少しでいいんですね」
「どのくらい入れたのかは言わなくていいからね」
「でも味はそんな悪くないですよ!」
「どれ、いただきまーす。………あ、ホント」
「でっしょー?」
「うん、美味しい。普通にクッキーだ。美味しいよ!」
「えへへありがとうございます!」
「真っ赤なクッキーってびっくりしたけど、なれちゃうと別に何ともないもんだねー。……ん?何?なんかおかしい?あ、僕ひょっとしてほっぺに欠片とかついてる?」
「………いいえ何にも!」
「ちょ…何?なんかまずいことあったの?」
「いえ、大丈夫です、大丈夫です。いやあ青いのじゃなくて良かった赤にして良かったハハハ」
「何!?なんなの!?」
「んっんー…あ、そっか。クダリさん、見て見てー。べー」
「え…赤ッ!舌真っ赤……まさか」
「ええ、クダリさんの舌も真っ赤です。まるで生き血をすすってきたドラキュラのようです!」
「うっそ…やっばい、ノボリに怒られちゃう、どうしよ」
「すいません、まさかこんな副作用があるとは…副作用?これは副作用か?」
「いや、君のせいじゃないよ。…君が作ったものをひょいって口にしちゃった僕が悪い」
「あれ、私貶されてませんか?」
「どうしよっかなー…。歯磨いて落ちるかな。落ちないよね…。このままトレインに乗ったらお客さんびっくりしちゃう」
「あ、クダリさん、名案が浮かびました。ノボリさんにもこのクッキー食べさせて舌真っ赤にしちゃえばいいですよ!二人とも真っ赤だったらお客さんも気づきませんて」
「ノボリは真っ赤なクッキーとか食べないと思うよ」
「…ですよね、普通そうですよね」