「ノボリさん、もしもこのゴミが全部金で出来てたら、私すっごいお金持ちですよねー」
「はいはいそうですね」
「この紙の束が全部お札だったら、やる気出るんですけどねー」
「はいはい」
「窓ガラスがダイヤモンドだったらなー」
「はいはい」
「空から雨のかわりにお金が降ってきたら良いのに。ちょっと痛そうだけど」
「現実逃避はいい加減になさいまし。さっきからちっともペンが動いてませんよ」
「…私の仕事を自動でやってくれるロボットがいたら良いのにな!性格とか見た目とか私そっくりの。そしたら仕事しなくて済むのに…。作れますかね?どうでしょうノボリさん」
「あなたそっくりのロボットでは、きっとそれにもサボり癖があるでしょうね。いいから早く始末書をまとめなさい」
「昨日あさりみてたんですよ、泥吐かせようと思ってボールに入れといたやつをぽけーっと」
「うん」
「で、おー伸びてる伸びてるとか思ってたら」
「どうなったの?」
「いきなりビュ!って水を顔にかけられました!あはは!」
「顔射…」
「ノボリッ!!」
「ハッ!?」
「え?何?」
「何でもない!それで?あさりどうしたの?味噌汁?酒蒸し?クラムチャウダー?」
「な、なんですかクダリさん、何でそんなに焦ってるんですか…味噌汁ですけど」
「そっかぁあさりの味噌汁は僕も好きだよ!あはは!」
「クダリさん、何ですかそのテンション…さっきノボリさん何て言ったんですか」
「何も言ってないよ!ねぇノボリ!」
「え、ええ」
「うそだー」
「ほんと!ね!ノボリ!…今日帰ったら公共のマナーというものについてじっくり話し合おうか」
「…はい」
「ちょっとー、ふたりでひそひそ話しないでくださいよ!ねぇ!」