可愛い。


僕の腕の中にすっぽり収まってしまう体躯とか、細っこい指、キレイな爪、柔らかいほっぺたとか、あとなめらかな肌とか、とかとか。
ソファに転がって静かに寝息をたてている君を起こさないようにそうっと近づいてかがみこんだ。こどもみたいに手足を折りたたんで丸まっている様子に、思わずへにゃっと笑ってしまう。本当は僕がお仕事から帰ってきたらいつものニコニコの笑顔でお帰りなさいって言って抱きしめてほしかったけど、でも君の寝顔がみれたからいいや。


手を伸ばして彼女の首にかかる髪の毛をゆっくり撫でたら、んんんと小さく唸った後に僕の手に頬を擦りよせてきた。その姿がまるで小動物みたいにとっても愛らしくって、なんだか心臓のあたりがじわじわあったかくなった。可愛いなぁ。


覆いかぶさるようにして彼女の顔を覗き込んでみた。普段はこういうことすると顔を真っ赤にして僕を見上げてくれるんだけど、今は寝てるから当然反応とかない。ちょっとあいてる襟元から鎖骨が見えている。普段なら、まぁ僕も男なので、そういうの見たら多少なりとも欲情してしまったりするのだけれど、今日は彼女のあまりにも安らかな寝顔にもうこころがいっぱいに満たされちゃってるからか、そういう気分にはなったりしなかった。愛しさが募って、ちょこんと触れるだけのキスを瞼に落としてみる。唇に彼女のまつげの感触がしてくすぐったかった。可愛いなぁ。

なんでこんなに可愛いんだろう、ほんと不思議。
幸せな夢でも見ているのか、目をつぶりながらかすかに微笑んだ彼女の頬をもう一回撫でる。好きな人が笑った、それだけでこんなに嬉しい気持ちになれるってすごいと思う。


彼女が風邪をひかないように、寝室から毛布を取ってきて静かにその体へかぶせた。彼女は数瞬わずかに眉をすがめてもそもそしていたけれど、そのうち落ち着いたのかまた静かな寝息が聞こえてきた。すう、すう、こっちまで眠くなっちゃいそう。可愛いなぁ。幸せだなぁ。





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