お医者さんにも治せない
「なまえ!心臓と脳みそ、どっち欲しい?」
「すいませんが言ってる意味がちょっとわかんないですね、でもわかりたくもないので説明しなくていいですよ!」
「えっなに言葉なんて不完全な媒体で説明しなくても脳みその神経つないじゃえば丸ごと全部わかりあえるって?流石なまえ!わかったよ手術請け負ってくれる先生探してくるね」
「あ、はいそのまま診てもらったらいいと思います、頭」
「え、どうして?なまえにあげる前にお医者さんに僕の脳みそ処女あげることになるんだよ?なまえはそれでもいいの?」
「脳みそ処女ってなんですか気持ち悪い!」
「なまえに余すところなく見てもらうの僕の脳みそ、一番最初になまえに、隅から隅までじっくり。なまえより前に他人に、お医者さんであろうと、見られるなんてやだ」
「キモッ!ていうか私お医者さんに診てもらえって言うのは頭カチ割って中身出してもらえって意味じゃないです!」
「あ、なんだー!なまえは僕の脳みそじゃなく心臓が欲しかったんだね!もう、そうならそうって早く言ってよあやうく脳みそ出しちゃうとこだったじゃん」
「クダリさんの耳どうなってんですか?私がそう言ったように聞こえたんですか?」
「耳?耳が欲しいの?どっちの耳?もぎ取ってプレゼントしようか?」
「言ってないです!」
「じゃあやっぱり心臓が欲しいんだね!そうだね、心臓渡すとかとってもロマンチック!」
「そんな生臭いロマンチズムいりません」
「な、生臭いとかっ……!なまえってばえっち!はれんち!」
「ごめんなさい本当に意味が分からない」
「嗅覚でまで僕を感じたいんだね!もうなまえだいすき!」
「は?クダリさんどうしたの?何かネジ落としたの?」
「え……ネジ?僕ってロボットだったの?し、しらなかった」
「比喩表現ですよぉぉぉバカァァァァ!」
「僕がロボットだとしたら、したら……そっか、なまえが僕のご主人さまでしょ?そうだよね、僕はてっぺんからつま先まで君のもの!そうでしょ?」
「返品で」
「やだっそんなこと言わないで!僕を捨てる君なんて、君なんて、……こ、ころしちゃうから!」
「やぁぁぁちょっと本気じゃないですよね!?そのシャーペンしまって下さいナイフならまだしもシャーペンで刺殺だなんて私かわいそう!」
「ハッ……けどロボット三原則において人間へ危害を加えることは許されてない……じゃあ僕はなまえを殺せない…?」
「え?ロボット三原則?何ですかそれ?ていうかクダリさんシャーペンしまってってば」
「人間への安全性の保証命令への絶対服従自己防衛、これロボット三原則」
「いやクダリさん人間だから」
「僕は君に絶対服従!命令も何でも聞くよ!」
「じゃあ離れて頂けます?」
「自己防衛の観点から言って僕はそれに服従する事が出来ない、なぜなら僕はなまえから50cm以上離れると死んでしまうからです」
「何きりっとした顔でバカなこと言ってんで、ギャッ背骨ボキッてゆったぁぁぁ」
「あ、ご、ごめん!痛かった!?」
「痛かったです!」
「ハッ…!?ロボットは人を傷つけられない、でも僕はなまえに痛いことできた、じゃあ僕は人間…!」
「クダリさん頭大丈夫?」
「なーんだじゃあ君と心中も出来るね!」
「しないですよ!わたし死ぬ時はかわいい孫やひ孫にかこまれて安らかな大往生って決めてるんです!」
「そ、そんな……僕との子どもが欲しいなんて、なまえったら気が早いよ!大胆!大好き!愛してる!」
「言ってないでしょー!?」
「子どもはサッカー出来るくらい欲しいね!幸せな家庭にしよう!」
「11人!?クダリさんやばい、ていうかクダリさんが旦那さんって時点でめちゃくちゃな家庭が出来上がりそう、非常にノーサンキュー」
「やだなまえ、しらないの?サッカーは一試合22人必要!相手いないサッカーチームなんてサッカー出来ない!」
「ばっっっっかじゃないですか!?そんなこと聞いてないですっていうかそもそもわたしクダリさんと結婚なんてしないですから!」
「スポーツよくしらないなまえもかわいいよ!」
「人の話聞いて下さい!」
「聞いてるよいつだって、君の声を僕が聞き逃すわけないじゃん」
「そうですねクダリさんは私の声は聞いてますね、でも私の言ってることは聞いてないですよね」
「聞いてる聞いてる、クダリさん大好き!ってことでしょ?僕も大好きだよ!」
「聞いてないじゃないですかー!」
「聞いてるよ僕なまえの声だったら地球の裏側にいたって聞き取れるから」
「よしきた実験しましょうノボリさーん!私海外支部に出張していいですかー!」
「新婚旅行だね!嬉しいよなまえ!」
「違うでしょぉぉぉ何でそういう解釈になるのかなぁぁぁぁ!?」
「海外怖い?大丈夫だよ、僕がついてるからね!」
「クダリさんが怖いんですってば!」
「アッなまえ……そ、そんな怖がんなくたって、…初夜は優しくしてあげるのにっ」
「誰か通訳呼んで!私クダリさんの言ってることわかんない!」
「通訳なんかいらないってば、僕こう見えてもちゃんと英語しゃべれる!He is Tom.」
「誰がトムの話なんてしてるんですかバカッ!」
「僕の前で僕以外の男の名前なんて口に出さないでよ!」
「ええぇぇぇぇ自分で言い出したんじゃないですか」
「トムってだれ、浮気?うわきなのなまえ?」
「まず私とクダリさん付き合ってなくないですか?」
「僕となまえの邪魔する奴は馬に蹴らせて死なせてやる……」
「罪もない人に何しようとしてんですかクダリさん」
「罪もない?なまえにいいよるクソゴミ虫どもなんかみんな害虫だよ、存在自体が悪」
「その筆頭はクダリさんじゃないですかね」
「オッケーわかった、死んでくる」
「いってらっしゃい、休憩が終わるまでには戻ってきて下さいね」
「生まれかわっても私の所に来てねだなんてなまえってほんとけなげ!大好き!でも大丈夫!」
「…待って下さいクダリさん、なんで私の手つかむの」
「一緒にいこうね?」
「やだぁぁぁぁまだ死にたくないぃぃぃぃ」
「大丈夫だよきっとすぐだから!怖くないから!」
「ふっざけんな嫌だって言ってるでしょうが!」
「逝こう?」
「だが断る!」
「つれないなまえも大好き!殺したい!一緒に死んでよ!」
「イヤァァァ私は100まで生きるのぉぉぉぉ」
「あ、もしかして100まで生きて一緒に死のうってこと?そういうこと?僕が途中で死んじゃわないように僕の為にそう言ってくれてるの?嬉しい!」
「クダリさんってほんと幸せそうですね、なんでそんなにポジティブシンキングできるんですか?」
「君がいるだけで僕は幸せになれるんだよ」
「なにキメ顔してんですか、ちっともかっこよくないですからね」
「また照れちゃって!かわいい!」