健全なるお泊まり会の開催を宣言しております









「ちょ、なまえ足ジャマだぞ」


「あららーどうもごめんなさいねトウヤくん、わたし脚が長いもんで」


「短足が何か言ってるな」


「は、ちょ、短足じゃないしー!」


「N、ちょっと机動かしてもいいかしら?布団敷けないのよ」


「好きにしてくれて構わないよ」


「ふえぇ、部屋中ふとんだらけだねぇ」


「ベル、それ掛け布団が裏返しだよ」


「ねぇねぇNー、Nんちって布団いっつもこんなに置いてるの?これお客さん用?」


「たまにゲーチスの昔の同僚が大勢泊まりに来るんだ、その時用」


「あんなオッサンでも友達いるのか」


「……友達、とは言えないかもしれないね」


「枕いっこ余ってるわよ、これ誰の分?」


「あ、あたし枕ないやぁ。それこっちちょうだい、トウコぉ」


「いち、にー、さん……あれ?何、Nもお布団で寝るの?ベッドじゃないの?」


「俺がNも布団で寝ろって言ったんだよ。1人だけ高さ違うと話し辛いだろ」


「おぉ、そっかー」


「よし!敷けたわ!」


「いえーいやったー!……うん、流石のNの部屋もこの人数じゃちょっと狭いね!」


「仕方ないだろう」


「おふとん、ダーイブ!!………はー、むっふふふふ、いいねぇいいねぇお泊まり!!」


「なまえ、だから俺の布団に脚出すなって。ここ俺の陣地」


「えいえい、侵略!」


「迎撃!」


「暴れないの!」


「…………」


「ベル?枕は投げないでよ?」


「……トウヤくん!ちょっとちょっと!」


「あ?なんだよ」


「Nのベッドの下……」


「……何かいたのか?」


「ううん、何もない。すっからかんだよ」


「あっそ」


「あっそじゃない!N、どういうこと?」


「何がだい」


「エロ本だよ!健全な男子高生たるものエロ本のひとつも持ってないと!」


「それは偏見だよなまえ」


「そうだぞなまえ、エロ本の隠し場所がベッドの下だけだと思ったら大間違いだ」


「ボクが言ったのはそういう意味じゃないよトウヤ」


「うっそ。じゃあどこに隠すの?」


「まず本棚を手前と奥の二重構造にしてだな……」


「電気消して早くお眠りなさい!まさか不純異性交遊でもしているのではないでしょうね!」


「勝手にボクの部屋に来ないでくれと言ってるだろう。放っておいてくれ」


「まだ12時じゃない」


「なんだよ不純異性交遊って、してねーよ」


「子供達を疑うなんて…」


「ひ、ひどぉい」


「…………早く寝なさい」


「…………」


「…………」


「…………」


「…………行ったか?」


「……行ったわね」


「ぶふふ、たのしい!夜更かししてせんせーに怒られるとか、修学旅行みたい」


「男女混合で雑魚寝とか、修学旅行じゃねぇだろ。どっちかって言えば合宿」


「わーお。明日4時起きでランニングでもする?」


「なまえ1人でやってくれ」


「やだよ無理だよ起きれないよ」


「何でお前提案したんだ」


「スイマッセーン」


「………電気消されると盛り下がるわね……」


「あ、じゃあなんか盛り上がる話する?する?」


「たとえばぁ?」


「怖い話!」


「わぁー!……あ、なまえ、ダメみたい。チェレンが布団もぐっちゃった」


「えー!怖い話嫌い?」


「………」


「チェレン寝たふりすんなー」


「嫌な人がいるなら止めておいた方がいいんじゃないかい」


「えぇー。Nは大人だなぁ。……でもね、怖い話って怖がりがいた方が楽しいんだよ、ね……!!」


「なまえ、チェレンがかわいそうじゃない、やめましょ。……それにあたし、恋バナの方がしたいわ」


「恋バナ?」


「ねぇトウヤ?」


「あぁ?なん……あぁ、そうか…はーい、俺も恋バナがいいでーす」


「えぇ!?トウヤくんも恋バナなの!?」


「多数決取るぞー、恋バナがいいやつ寝たまま手上げろー」


「…………」


「…………」


「…………」


「暗くて誰が手上げてるのかわかんないね!」


「Nも恋バナ聞きたいよな?」


「何でもいいよ」


「ベルも聞きたいでしょ?」


「え、うーん……チェレンは?怖い話と恋バナどっちが、」


「たまには恋愛の話もいいかな」


「うわぁ即決だね。もー怖がりだなぁ」


「はーい恋バナ決定ー。じゃ、左端のなまえから」


「え、端っこわたしじゃないよトウヤくんだよ」


「うるせぇいいから何か話せ」


「横暴だー!……えぇ、恋バナっていっても……あ、あのねーこの間シキミ先生がねー」


「ストップ!どうして他人の話になるのさ?」


「そうよなまえ、なまえの恋バナ聞かせなさいよ!」


「そうだよぉ」


「えー……そんなこと言われても……話せるようなのないよー、相手いないもん。みんな知ってるでしょ」


「まぁまぁまぁまぁ、そういわずよく考えてみなさいって」


「そうだぞなまえ、彼氏じゃなくても好きな人の話でいいんだぞ」


「なまえ、それは布団じゃなくボクの髪だ」


「うぎゃっごめん引っ張っちゃった」


「なまえ、この間また化学準備室行ったって言ってたよね?シャーペン取りに。その時何かなかったの?」


「え、チェレンどうしてそんなノリ気なのぉ?」


「え、えぇー、何かって、何もないけど…?」


「はい!そういえば戻ってきたなまえのシャーペンにシャー芯が大量補充されてたわ!」


「自分で入れたの忘れてたんじゃね?」


「違うわよ!」


「なまえのシャーペンをちょっと使ってみようかなとか思って試さないことには、シャー芯が切れていることには気付けない……つまり、」


「それ別に関係なくね?」


「いや待ってくれ、もしかしたらシャー芯を補充していると見せかけ実はペンの内部に小さいメモでも仕込んだのかもしれない。可能性はあるんじゃないかい。戻ってきたシャーペン分解して調べてみたかいなまえ」


「シャー芯はカモフラでメアドかなんかをなまえにこっそり渡そうとしたのかもしれないってことね!いいわよ今日は会話も積極的ねN!」


「え、えー、何言ってるかわかんないんだけど……」


「だからつまり俺たちはお前が化学室の誰かさんに恋しちゃってたりしねーのかよって言ってんだよ」


「ちょっとトウヤ!直球すぎるわよ!」


「え、つまり………」


「つまり、そういうことだよなまえ」


「みんなはわたしがシャガせんせーを好きなんじゃないかって疑ってたってこと?ごめん流石にあれは無いかな…年の差もあるしね」


「ちげぇよバカ!」


「早く寝なさいと言っているでしょう!アナタたちがひそひそ起きているかと思うとワタクシも安心して眠れないのですよ!!」


「ゴメンナサーイ」


「……………ノボリ先生とクダリ先生のどっちかは実は鏡の向こうから来たとかだったら怖くね?」


「チェレン、怖かったら耳ふさいであげるよぉ?」


「こ、わくないに決まってるよ。何言ってるのさ」


「そんで夜の鏡を覗き込むと背後にクダリせんせーが立ってるのが見える……でも振り返っても誰もいない……」


「また視線を鏡に戻すと今度は鏡の向こうからガラスをばんばん叩いてこっちがわに出て来ようとする笑顔のままのクダリ先生が……」


「怖くなって逃げようとすると肩を掴まれて、振り向くとそこには無表情のノボリ先生が……」


「ぎゃー!」


「ありえないよ」


「チェレン?チェレン大丈夫?」


「だ、大丈夫だよ!」







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