勉強より大切な何かって絶対あると思うの、という屁理屈に則りまして









「じゃあ144ページの問5(1)を、なまえ!座ったままでいいから答え言ってー」


「すいません教科書忘れました」


「え?持ってるじゃないなまえ」


「解けねーんだったらわかりませんって言えよ」


「なまえ?えーと…解ける解けないは別としてまず教科書開いてくれるかな?」


「ふははこれ数Uじゃなく数Bの教科書なんです、教科書忘れたって言ったら怒られるかと思ってカモフラで机の上に出しときました!サーセン」


「教科書忘れたくらいで僕怒らないよ…」


「お前そういうことばっかしてっから数学わかんなくなるんだぞ」


「机くっつけようなまえ、ボクの教科書見せてあげるよ」


「まじかありがとう、ついでにあの問題の答えも教えて」


「なまえだーめ、それはちゃんと自力で解いて下さい」


「えーと………3Xです」


「違います」


「傷つくわー」


「お前……」


「なまえ……」


「どこの問題みたらそうなるんだい?Xなんてこのページのどこにもないだろう。ここだよ、5-2×54÷5-1のところだよ」


「なんかとりあえず3Xって言っとけば三分の一くらいの確率で当たるような気がした!」


「なまえ、わかった、僕が悪かったよ、僕と一緒に問題解いてこうね。えっと、さっきの公式のとこまではわかった?」


「………はい!」


「おい何だ今の間」


「なまえここだよ、ここに書いてある公式だよ」


「あ、なんだこれかぁ、簡単じゃん」


「そう、これだよ!そうだね、分数の形に変形してからこの公式に従って解くと…まず分子はいくつになるかな?5-2×54だから?」


「えーと、5のにじょうで…25です!」


「そう!…で、下が5-1だから分母は1/5になるでしょ、つまり……(1)のこたえは?」


「5」


「あ、馬鹿なまえ、クダリ先生アタマかかえちゃったじゃねーか」


「ちがうだろうなまえ、分母に分数が来たら上下にその逆数をかけるんだよ、忘れたのかい?」


「うぎっ……しまった。やっちゃったね!」


「ヤッチャッタネじゃねーよ。お前そこからかよ」


「僕教師向いてないのかな、教員免許取るの諦めようかな」


「クダリ先生落ち込まないで!なまえがちょっと特殊なだけですから!」


「そうですよせんせー、気にすること無いですよ!」


「お前が原因だろうが」







***







「アンモニアは白金を触媒として800度〜900度で空気中の酸素と反応させると一酸化窒素になります。これをさらに空気中の酸素と反応させて二酸化窒素にし、それを水に吸収させると硝酸が製造されます。この方法はオストワルトが発明したのでオストワルト法と呼ばれますが……あの、なまえさん?むずかしい顔をなさっていますが…わたくしの説明で何か分からないところが……?」


「せんせー、質問です」


「なまえが授業中に質問とか珍しいわね」


「今日は槍でも降るかもな……」


「常識的に槍は降らないだろう、せいぜい魚だ」


「……N、魚だって空からは降ってこないと思うわ…」


「なんでしょうか、どうぞ」


「知らないのかい、ファフロツキーズ現象だよ。空から変なものが降ってくるんだよ、カエルとか魚とか」


「知らね」


「原因とされる説はいくつかあるんだけど一番有力なのは竜巻原因説かな、竜巻によって巻き上がったモノたちがたまたま上昇気流に乗り全く違う離れた場所に落っこちてくるんだ」


「なんで原子核のいちばん内側はA殻じゃなくK殻っていうんですかー?順番的にいちばんなかにいるんだからa殻があってると思います!」


「何だそれ、こえーな」


「じゃあ槍だってどこかで巻き上げられて落っこちてくることもあるかもしれないじゃない」


「K殻に名前を付ける際、あとあとになってもっと内側に殻が見つかった場合の名付けに困らないよう、あえてアルファベットのKを使ったそうです」


「どこで槍が巻き上がるんだよ。戦国かよ」


「あ、そっか。そうよね」


「へー、でも見つからなかったしa殻に改名してもいいと思うんですよねー。テストのとき答えa殻って書いても良いですか?」


「乱世かい。いつの時代だい」


「うるさいわよ、黙んなさいよN」


「だめですね。というかもう殻云々の単元は終わってますからテストには出ないと思いますよ」


「先生、なまえに構わなくていいですから授業進めて下さい」


「あ、チェレン酷い、せっかく授業中断できたのにー!」


「黙んなよMs.問題児」


「なまえ、お前問題児って言われてんぞダッセー」


「トウヤ、君もだよ」


「俺も!?」


「プッ、制服ちゃんと着ないからよトウヤ」


「トウコ、君もだよ」


「あたしも!?」


「むー。問題児扱いだなんて失礼しちゃう!」


「あ……の、みなさん別に問題児と言われているわけではありませんよ…?ただ…少しだけ手のかかる生徒なので注意して指導しろとは言われましたが。特になまえ」


「先生、それが問題児です」









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