はじめまして、小さな君たち








クダリさん!ノボリさん!う、うまれる……!!はやく!タマゴのとこ来て下さい!って慌ててナマエが走ってきたから、自分のポケモンたちの孵化の瞬間には何度も立ち会ってきた僕らだけど、何だか柄にもなくドキドキしてしまって、心臓がばくばくいうくらい全力疾走して仮眠室にかけ込んでしまった。コンパスの差を考えて下さいよぉぉぉってぜーはー言ってるナマエの手を両側から握りしめて、途中から半ば引きずるみたいにしながら走った。ホームは走らないで下さい!って後で部下たちからがっつり怒られた。今日だけは許して。


「っはぁっはぁっゴッホ、げほん、ウェッゴホッ、は、はやすぎ、ッゲホッ」

「もうちょっ、と品の良い咳はできない、のですかっ?」

「はぁー、?品の良、い咳ってどんなん、ですかー?」

「タマゴ!」

「クダリ、どうしてそんなに、元気なのですか…?」

「あ、ほんとだ!もう生まれそう!ヒビぱきぱき!」

「そう、ですよっ!……っはー、…だから呼びに行ったんじゃないですか、えへー」

「はぁー……、やっと生まれるの、ですね。何だか感慨深……待ちなさい、あなたどうして休憩中でもないのに仮眠室に居たんですか?」

「………ン?」

「ン?じゃないです、さてはサボりですかナマエ」

「ねーもういいじゃん今日くらい許してあげて!」

「ふおぉぉクダリさんありがとうございます大好きです…!」

「わ、生まれる、もうちょっと、」

「………あ、どのタマゴが誰のでしたっけ?」

「奥のがクダリさんで右のが私でー、左がノボリさんでしょ?」

「え、違うでしょ、奥のがナマエのでしょ?」

「わたくしのタマゴが奥のものでは?」

「…………えーと……まぁいいんじゃないかな!三人でお世話したんだし親とか誰でも!」

「そうですよね!そうですよね!親とか決めるの要らないですよね!」

「まぁそれも良いでしょう、そういうことにしておきま」





「あっ」

「わー!」

「あぁ」

「う、うまれた…!うわー!うわー!ほんとに生まれたー!…うわぁ、小さい…えへへ…」

「うわぁかわいーい!おいでおいで、抱っこしてあげる!」

「いらっしゃい……おや、あなたは随分懐っこいですね…ふふ」







はじめまして、小さな君たち








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