私と僕とわたくしと君たち








ああ、今朝から何となく嫌な予感はしていたのです。朝起きたらいつもより5分寝坊していましたし慌てて作った目玉焼きは焦がしてしまいましたし、今日がゴミの日だということを忘れていたせいで数日分のゴミを出し忘れました。紙くずはまだいいのです、問題は生ゴミ…いえ、そんなことも今はどうだっていい。問題は、問題はですね、どうしてあんなところにタマゴが置いてあるのかということです!ホームの下だなんてそんな、なんて危ない!ギアステーションの駅長として、一介のトレーナーとして、怒りを覚えずにはいられません。卵はとりあえず保護いたしました。


「あ、ノボリさ………厳選中ですか?」

「拾ったのです」

「え、ノボリさんも?」

「なーに?どうしたのノボ……拾ったの?」

「これで三つ目…どうしましょう、看板でも出します?タマゴの不法投棄禁止って」

「うーん…どうしようか、ノボリ」

「そうですね…出来ればしたくありませんが…」

「あ、でもでも、全然関係ない廃人のみなさんが白い目で見られちゃうかもですね…他のお客さんとかに」

「そうなんだよねー」

「そうですねぇ…」

「そのタマゴ、どうするんですかノボリさんは」

「どうしましょうか」

「もし何なら私があっためときますけど…。いっこも二個も変わりませんし」

「えー。ノボリは自分で孵すでしょー。ねぇ?」

「そうですね…タマゴ一つくらい負担になりません」

「そうですかー」

「ねー、誰のタマゴが一番早く孵化するか競争しよ!」

「クダリ、そういう事は…」

「おー!いいですね!私のタマゴちゃんが一番に決まってるんですからっ!ねー」

「…まぁ、いいですけど」

「決まり!あっ、ほのおのからだは駄目だからね、ノボリ」

「え」

「そーですよぅ、ノボリさんしか炎タイプ持ってないんですから不公平でーす!」

「あなたたちの方がタマゴ見つけるの早かったんですからそれくらい…」

「ダメ!」

「です!」

「チッわかりましたよ」

「怖ッノボリさんチッって言った!クダリさん聞きました!?」

「わぁ怖い、タマゴちゃん、あのお兄ちゃんみたいになったらダメだよー、よしよしいいこでちゅねー」

「チッ。クダリ、その話し方おやめなさい」

「ノボリさん怖い!」

「ルール!ほのおのからだはダメ。お仕事中は仮眠室に寝かしておくこと!こっそりサボってタマゴの世話禁止!」

「はぁーい」

「分かっていますね、仕事をサボってはいけませんよナマエ」

「分かってますよ、ノボリさんこそヒトモシに頼んであっためてもらっちゃダメですからね」

「はいはいそこまでー、午後のお仕事の時間だよー」

「タマゴちゃん、また後でね!」

「いい子にしているのですよ」

「おやすみのちゅーしてあげるね、ちゅー」

「クダリさん何してるんですか」

「え、ナマエとノボリだってタマゴに話しかけてたじゃん…」

「ほら早く、行きますよ」







私と僕とわたくしと君たち




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