追いかけて30周
ギアステーションにはジャッジさんがいて、ポケモンを連れていくと強さを判定してくれて、だから強さを求めるいわゆる廃人たちが卵をもってぐるぐる駅構内を爆走しているのも、我らが上司を筆頭に見慣れたものである。あたたかな体温を持った炎タイプのパートナーと一緒に5つのタマゴを抱えて走るトレーナーたちは、ある意味でギアステーションの名物なのだ。それはそうなのだけれど、厳選したって文句はないのだけれど、でもこれはだめでしょう!!
「おや、あなたがタマゴを持っているなんて珍しいこともあるのですね。バトルトレインに異動をご希望ですか?」
「違いますよ、放置されていたタマゴを保護しただけですよ」
「…放置?」
「はい、列車の網棚に放置してありました。私が孵してそのあとは里親を探すなり野生に返すなりしようと思うのですが、どうでしょう?」
「よろしいのではないでしょうか。お願いします」
「わかりました!」
「ところでナマエ、何かおかしなものでも食べましたか」
「おかしなもの?食べてませんけど、何でですか?」
「いえ、何だか今日は言動がまともだったので」
「寂しいんですね了解しました、ノボリさん脱いで下さい」
「嫌です」
「写真に撮ってほしいんでしょう?私がまともだと寂しいんでしょう?触ってもいいってことでしょう?ね!」
「良かった、拾い食いはしていないようですね。いつものナマエで安心しました。では!」
「うふふ、ノボリさんったら照れてるんですか?逃しません、よ…!!」
追いかけて30周