子離れはおすみですか








元に戻っただけだ。僕らが不法投棄タマゴ、を、見つける前に戻っただけ。元通り。ノボリは駅を隅々まで見て回ってるしナマエはお仕事サボって寝てるし僕は挑戦者をひたすら七両目で待ってる。すっごい普通。ちょっとだけ退屈。ノボリの視線が無意識に小さなポケモンの姿を追ってる事とかナマエが眠りながら毛布を抱き寄せて少しだけ涙を滲ませている事とか僕がふとした拍子にあのちいさな三匹を思い出すことなんて、ほんとに些細な事だ。ただちょっとさびしいだけだ。


「クダリ…」

「なに?」

「いえ、ナマエが、その。……最近ちょっと元気ない、ですよね」

「あぁ、ノボリがあの子たちあげちゃったからじゃない?」

「うっ…そうですよね…やっぱり……」

「せめてナマエも一緒に連れてってあげたらよかったのに、研究所」

「そうなんです、よね……はぁ…」

「ふわわわわよく寝た、おなか減っ………えっ何この空気、ノボリさんどうかしたんですか?」

「あなたまたサボ…………目、少し赤いですよ」

「えっ、あ、あー。あーっと、おなか痛くてー」

「ナマエ、ナマエ、こっちおいでー」

「はーい?」

「えい、ぎゅー!」

「ふごぉ!?」

「………みんな元気にしてるよ」

「…ぐすっ、ずび」

「よしよし」

「ぐすぐすぐす、………うっうえぇぇぇぇん………っひっくひっく、ぐすん…あ、ハナでた、ひっく」

「あーもう、いいよこのシャツ替えちゃうからハナ拭いても……今日だけね」

「そんなことしたらクダリさんのシャツの価値が下がっちゃう……ノボリさんティッシュ取って下さい、ぐすん」

「価値ってなんですか価値って……はいどうぞ」

「ずび、はぁ……うん、もう大丈夫です」

「うん」







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