…びっくりした。
何がびっくりしたって、まさかナマエの方からちゅーされるとは思わなかったからだ。一瞬軽く唇同士が触れて、すぐ離れた。と言ってもナマエとの距離はまだすごく近くて、僕があと数センチ動くだけでもう一度ナマエとキス出来るくらいなんだけど。してやったり、にやにや笑いながら挑発的に僕を見つめるナマエの瞳から目が離せない。まいったなぁ、僕が主導権を握るはずだったんだけどね。どうしよう、僕、今ちょっと顔赤いかも。

「クーダリさーん?」

ニマニマ笑いながら僕の顎に指をかけて爪で軽くひっかいてくるナマエの声に、押さえてた羞恥心が一気に噴き出してきて、あーこれ絶対僕カオ真っ赤だ。笑顔もきっと固まってるよ。どうしよう。

「どうしたんですかクダリさーん。動かないなら食べちゃうぞ」

尚もニヤニヤ笑いながら冗談めかして言葉を吐くナマエの顔を直視できなくて、僕は視線をうろうろと彷徨わせる。そしたらナマエは僕の両頬をぐっと掴んできた。驚いてナマエに視線を戻したら、彼女はにっこり笑ってこう言った。

「はーい、いいこですねー。人が話してる時はちゃんと相手の顔見ましょうね」

ニヤーと、可愛らしい微笑みから一変、意地悪く笑ってナマエはまた僕にキスした。…しかも今度は、舌、入れてきた。ここでナマエのペースに流されるのは男として何かダメな気がしたので、ぐいと身を離す。ナマエはまだニヤニヤしてる。…ここで終わる僕だと思わないでよ。

「ナマエは意外と、インラン、だね?」

多分まだ顔の赤さは抜けきってなくてカッコついてないと思うけど、ナマエの両肩を掴んで床に押し倒した。きょとんとした表情のナマエが僕を見上げてる。形成逆転、かな。天井の照明が眩しいのか軽く目を眇めたナマエに覆いかぶさって今度こそ僕からキスする。最初は触れるだけ、そのあとは唇を舐めて、食んで、舌を入れて、存分に楽しむ。味なんてしないのにとってもおいしかった。クセになりそう。




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