ナマエの隣を過ぎたときもしかしたら昨日の女の甘ったるい匂いに気づかれやしないかと一瞬肝を冷やしたが、彼女は全く気付かなかったようで、それにひどく安心した。


わたくしのこんな醜い姿を、ナマエにだけは知られたくない。彼女の前だけでいいから、清廉潔白な自分でありたいのです。夜ごと違う女をかわるがわるに抱いてどろどろに汚れているきたない自分など見せるわけにはいかない。そんなわたくしを知ってしまったら、彼女はきっと軽蔑するでしょう。あぁ、そんなことになってしまったら、わたくしはいったいどう生きて行けば良いでしょう?わたくしの世界で燦然と輝く光を失ってしまったら、真っ暗で何も見えなくなってしまう。


ナマエはわたくしの生きる意味なのです。わたくしの一生の愛を捧げるべき相手。しかし、この薄汚いわたくしでは、彼女を幸せになど出来っこないのです。
ですから、この今にも爆発しそうな想いをひた隠したまま、わたしくしはナマエと何食わぬ顔で接するのです。


彼女までわたくしの醜い欲に晒すわけにはいかない。

あぁけれど、ナマエと愛し合うことができたなら、どんなに幸福なことでしょう!



わたくしでない他の人に向けられるナマエのきれいな笑顔が辛い。






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