所
私だって性別♀である以上は人肌恋しくなったりする日もあるのだ。
そんな時、寄り添え抱きしめてくれるような温もりが傍にあったらいいとは思うのだけれど、あいにく私は恋人というものを所有していないのであるからして、つまりはひとり寒々しく夜を過ごすか、さもなければどこかそこいらで手軽にあたたかさを分けてくれる軟派な男でも捕まえるしかない。しかし私は好きでもない男に肌を許すような趣味は無いので、結局のところ今夜も冷たいシーツにひとりくるまって新しい朝が来るのを夢の中で待つのだろう。
「(あー寂しい。誰でもいいから彼氏欲しい。あ、やっぱダメ、誰でも良くはない!ええと、優しくて、頼りがいがあって、私だけを好きでいてくれる人)」
やっぱりねぇ。どんなに格好よくっても浮気はねぇ。
男は浮気する生き物だとか、そんなはのただの言い訳だ。そもそも動物じゃあるまいし、今の世の中タネをばら撒いたって自分の残せる遺伝子が増えるわけじゃない。
どうせただの性欲処理、それとちょっぴりの好奇心と、あとは単なる新し物好きで、そういう男は浮気するのだろうな。
「(やだやだ。誰かいないかなぁ、一途に私を好きでいてくれる人…)」
他にどんな美人がいても、私だけを見てくれる人じゃなきゃいやだ。
そう、他の女の人に目移りしちゃうなんて論外。そんなんじゃだめ。全然だめ。あれ、この口調クダリさんっぽくない?………クダリさんかー、あの人優しいけどちょっと子供っぽいところあるしなぁ。じゃあノボリさんとか。えぇ、ノボリさんに恋愛とか似合わないよ!淡白そう…あれ、でも確かあの人彼女がいたような?ふっふふ、なら意外と情熱的だったり?…なーんて……
明日も早くから出勤しなくてはならないので、くだらない考えは脳みその隅に追いやって布団をかぶった。ひんやり。