年末年始ぐだぐだ計画






激務のてつどういんだから、使えなかった有給は余裕でたまっていく。これ一気に使ったら海外旅行くらい楽勝だな、一気に使う機会があったらだけどね、なんて考えていたが、まぁそうそう休めるはずもなかった。……と思っていたんだけど。


「上から怒られた、君ちゃんと有給消化して」
「上ってどこですか」


クダリさんは珍しく、ドライアイ対策の時用のメガネを着用している(ってことは今すごく忙しいんだなクダリさん。いつもはアトが残るからイヤだとか女子みたいな理由でコンタクトを手放さないのに)。フチのないレンズを指で押し上げ鼻梁をぐいぐい揉みながら口元にだけうっすらとした笑みを浮かべていた。


「……上って言ったら、リーグだよ」
「あれっギアステってリーグの管轄でしたっけ」
「バトル施設だからね、半公営」


腕に抱えていた紙の束をどさりと適当にデスクへ置いて、きゅぽんとマジックの蓋を外す。あー、とかうー、とか、クダリさんはいまいち集中してなさそうな声で唸りながらホワイトボードとにらめっこを始めた。


「えーとどこ休ませようかなー、ここらへんでいいかな」
「クリスマスから年明けまで!?まじですかやほー!」


きゅきゅーと間の抜けた音を立ててクダリさんが引っ張った黒い線は、クリスマスの日から伸びて一月一日を過ぎたところまで届く。なんてことだ、初詣ラッシュの駅業務をパスできるなんて!ふー……。重々しく長い溜息をつきながら、クダリさんはきゅっとマジックのキャップを締めた。


「……あの、でも、そんな忙しい時期に休んで大丈夫ですか?いいんですか?」


目をぐっとつむって険しい顔になっているクダリさんに、下からそうっと聞いてみる。だって今さえすごく疲れてそうなのに、この後の激務を更に減らした人員で対応できるのかって、そんなの無理でしょ。


「え?あぁ……気にしなくていいよ。どうせ君いてもいなくてもあんまり変わんないし」
「まさかの戦力外通告!」


クダリさんこのやろう!お言葉に甘えて心置きなく休んでやる!!




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