味噌汁に関する話
***ノボリ***
「わたくしのために毎朝味噌汁を作ってくださいまし」
「は、はい……！」
「出汁は鰹節から取ってくださいね」
「えっ」
「パックの鰹節は使わないでください」
「毎日わざわざ鰹節を削れと？」
「あの音好きなんですわたくし」
「目覚ましのアラームにでも設定しておけばどうですか？」
「何です、もしかして鰹節は嫌でしたか。昆布出汁でもいいですけど」
「まさか昆布の方は毎朝海から収穫してこいって言うんじゃないですよね？」
「何言ってるんです、生の昆布を使えなど言いませんよ」
「あっよかった」
「天日で干してからにしてください」
「わー！ノボリさんめんどくさ！！」
「イチからあなたが作ってくださったものが食べたいんです」
「ノボリさんが毎朝土鍋でごはん炊いてくれるならいいですよ。ご自分で収穫から精米までしたやつ」
***クダリ***
「毎朝僕にお味噌汁作ってください」
「じゃあおかず担当はクダリさんにお願いしたいです」
「いいよ！気力がない日はパックの納豆だけになるかもしれないけどいい？」
「私が疲れてるときにお湯注いで作るタイプの味噌汁出しても怒らないなら」
「あれめっちゃ美味しいよね、僕なめこのやつがいい」
「いいですね、私はわかめのやつが好きなので２種類常備しておきましょうか」
「あっねえ納豆はひきわり？小粒？大粒」
「可能であればその日の気分で変えたいです」
「よしじゃあ選べるビュッフェスタイルでいこう」
「わぁい！すごい楽しそう」
***インゴ***
「お味噌汁作ってください、ワタクシに毎朝」
「インゴさんお味噌汁飲めるんですか？出汁の味が苦手とか言ってませんでしたか」
「……飲めません。ので、コーヒーとトーストでお願いします、ワタクシの分は」
「お味噌汁作る意味なくないですか！？」
「そうですね、ワタクシのために作っていただいて、そしてアナタが飲んでください」
「なんて？」
「おかしいですね、定型句だと聞いたのですが、プロポーズの。おねだりミソスープ、イッシュでは」
「あっそういう話！？」
「間違えてしまいましたか、ワタクシ？何と言えばよかったんでしょう」
「えぇ……別に、その、……ウィルユーマリーミー？とかでも、えっと、いいんですけど。もしくは、うーん、毎朝わたしにをコーヒーを淹れてください、とか？」
「毎朝ワタクシにトーストを焼いてください」
「インゴさんはそうやってすぐアレンジするんだからも〜」
「毎朝ワタクシのトーストにイチゴジャムを載せてください」
「山盛りにしてあげますったらも〜」
***エメット***
「毎朝ボクがキミのコーンフレークにミルクをかけてあげるねー。あっ、これはプロポーズです、一応！」
「なんて斬新な……色気のない……」
「週末の朝はベッドでカフェオレを飲んでからー、ふたりでマルシェに行こうねー」
「うわぁお洒落すぎる」
「朝ごはんはなるべくボクが用意するからー、時間のあるときは夕食はキミが作ってくれる？あーそうだなー、ボクらの週間スケジュールをリストにしておこうか。そしたら何曜日の何時にキミとかボクとかがどこにいて何をしてるのかわかるし、そしたらどっちが夕食作ったらいいかも迷わないもんねー。ア、事前にふたりで夕食のレシピ考えておかない？そしたらマルシェで一週間の食材まとめ買いできるよねー。うんうん。ンン、それに『あ、今日はナマエ早く帰ってくる日だな！』って分かれば、ボクもキミに花束を用意しておけるし。うん、やっぱスケジュールリストは必要だねー」
「エメットさんってロマンチストと合理主義が同居したような性格してますよね。好きです」