「なにニヤついてんの……?」


「は?」


「何でニヤニヤしてんの?」


「してませんよ」


「えーしてるよ。今日何かあったの?保健室」


「いいえ別に……」


「あっそー。……あ、そうだ、ねぇ実習終わったら他の人たちも誘って飲み行こ」


「わたくしは遠慮します」


「女の子も誘うし」


「なおさら嫌です」


「ノボリいい加減三次元にも興味持った方がいいよ!」


「なに勝手なこと言ってるんです、わたくしがいつ二次元に愛を叫びましたか」


「えーだって僕ノボリの彼女見た事ないんだけど」


「紹介してませんからねぇ」


「え?じゃあ彼女いたことあったの?誰?」


「……秘密です」


「あ、物理科の子?それとも応生?薬科?ノボリと同じ化学科?まさか数科?」


「見て下さいクダリ、きのこ生えてますよきのこ」


「ちょっとぉノボリ何で秘密にすんの……あ、ほんとだきのこ」


「これうちの科の棟裏にも生えてますよ」


「へー。これって食べれるの?」


「こんなとこに生えてるの食べたいんですかあなた…」


「いや食べたくはないけどさぁ」


「さっさと帰りましょうよ」


「んー、うん。帰ろ」


「今日は流石に疲れましたね…」


「そうだね、高校卒業してからあんまり走るって無かったから……それでさっきの話だけど」


「あぁ、食べることはできますよ。ただ食い合わせの悪いものがありますので注意しないといけません」


「そっちじゃないよ!彼女の話だよ!」


「……ねぇー」


「ねぇーじゃなくて」


「秘密って言ったじゃないですか」


「隠すような人がいないの間違いじゃなくて?」


「実習、残りの期間頑張りましょうね」


「え、あぁ、うん。唐突だねノボリ!」


「あと二日ですね」


「そうだね……あのね、Nって子いるでしょ、あの子よく僕のとこ来て数学いろいろ質問してくれる。質問多くて時々焦っちゃうけど……ちょっと嬉しい」


「そうですか…」


「ノボリは?どうだった、実習」


「楽しかったですよ」


「そっか」


「はい」


「で、彼女誰?」


「はい、楽しかったですよ」


「ノボリィー!ひとの話ちゃんと聞いてよ!」





体育祭:夕方




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