「何です、今日はよく人の運ばれてくる日ですね……」
「すみません、ノボリ病弱なもんだから」
「……病弱ではないですよ……」
「奥のベッド使って下さい。あぁ、隣に生徒が寝ていますのでお静かにお願いしますね」
「わ、かわいそう。せっかくの体育祭なのに」
「えぇ、そうですね……まぁ大丈夫だと思いますよ」
「はやく元気になるといいですね。よいしょっと……ほらノボリ、ノボリも早く元気になってよね」
「ノボリ先生は2回目ですね、保健室」
「ご迷惑おかけします」
「じゃあ僕後片付けがあるので失礼します」
「はい、ご苦労さまでした」
「…………」
「……おや。ノボリ先生、このコーン少し職員室へ行って参りますね。少々氷が足りなくて、氷嚢用の」
「あ……はい、分かりました。すみません」
「その間は……そうですね、この麦茶でも飲んで休んでいて下さい」
「ありがとうございます」
「すぐ戻ってきますからね」
「………………………ふー…………」
「……ノボリせんせー?」
「ゴフゥ」
「うぉっ!?せ、せんせー!?なんか今やばい音がしましたけど大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫です!ナマエさんですか!?」
「あっはいそーですナマエですー」
「二回目ですね、保健室で会うの……」
「そーですねー!ノボリせんせー病弱なんですか?」
「いえ、わたくしは……ナマエさんこそ」
「あーちょっと熱心に応援しすぎました!」
「それは良いことですね……いえ、倒れるほどというのは良くないのですが」
「えへへ最後まで見れなかったのは残念ですけどー」
「そうですよねぇ……」
「………えーとスウェーデンリレーでしたっけ、あれ赤と白とどっちが勝ったんですか?」
「わたくしが勝ちました」
「おぉ!流石ノボリせんせーですね!」
「ふふ、ありがとうございます」
「………」
「………」
「あのー」「えぇと」
「あ、えっとはい?」
「あぁいえ、ナマエさんからどうぞ」
「え、いやいや全然わたしの下らないっていうかー、だからノボリせんせーの、話」
「はぁ、いえ別にわたくしの方も下らない話なのですが」
「下らなくないです!たぶんわたしのよりは!」
「……もうすぐ実習期間が終わるので……今までありがとうございました、と言おうと思って」
「………えっ!?」
「ありがとうございました、ナマエさん。化学頑張ってくださいね」
「ちょ、あれ!?もう終わりでしたっけ……!?」
「えぇ、少し長すぎたくらいですね」
「いや長すぎってことはないですよね!?」
「ですのでナマエさん、大学受験応援してますからねわたくし」
「え、何そのプレッシャーやばい。やめて下さいよー!えっえっあの、でももうちょっとまだ数日はいるんですよね!?」
「あ、はいあと2日間ですが」
「なぁんだ」
「化学の授業はあと一回です」
「うひー。頑張りまーす」
「時にナマエさん」
「ぅえっ!?はい!」
「シャーペンを分解して遊んだりしますか?」
「シャー……いや、しないです、けど……?」
「……そうですか……」
「え、し、した方がいいですか?」
「いえ、しなくていいです」
「えー……?」
「………」
「………」
「………」
「………あの!ノボリせんせー!?」
「はい?何ですか?」
「えーとえーとー、えっと」
「はい」
「かっ彼女とかいるんですか!?」
「います」
「……ソーデスカー……でっ、ですよねぇー……」
「………」
「………」
「申し訳ありませんね、ただいま帰りましたコーンです!デントからカップケーキ奪っ……貰っていたら遅くなってしまいまして」
「あ……わたくしもう良くなったようなので戻ります。お茶ありがとうございました」
「そうですか?それではお大事に。……おや、ナマエ起きてたんですか?カップケーキ食べますか?」
「だ、ダイエット中なのでいりまっせーん」
「ナマエがカップケーキをいらないですって?これは明日は雨でしょうね……」
「ふがっ、何言ってるんですかー、わたしがお菓子を遠慮するなんて雹が降ってもおかしくないですし?おかしだけに!なんちゃって」
「うまくないですよ。……うーん、ナマエ熱下がってないんじゃないですか?もう少し寝てなさい」
「えー?でもそんなにもう悪くない気がするんですけど……」
「顔が赤いですし少し目も潤んでるみたいですから。あなたちゃんと帽子被らなかったんでしょう」
「……、えー!だってみんな帽子なんて持ってきませんもん!せいぜいタオル頭に乗せるくらいだしー」
「そんなだから熱中症になるんでしょう」
「はーい」
「コーンはあっちにいますから、喉乾いたら言いなさい」
「はいはーい、ありがとうございますコーンせんせー」
「それでは」
「(あーちくしょ、フラれちゃったなぁー)」
「(くそー)」
閉会式の一方、保健室