「誰か出るっけ?」
「Nが走る」
「……大丈夫かな?」
「何がだよ」
「Nって20メートルくらい走ったとこでパタッと行きそう」
「流石のNもそこまで貧弱じゃないと思うぞ」
「背高いし足長いし有利のはずよ」
「そっか、そうだね!一着ゴールとか出来るかも!」
「おお、応援してやろうぜ」
「あとどんぐらいでNの番?」
「あと2、3人走ったらNになるな」
「そっかー!………………ねぇトウヤくん」
「なんだよ」
「順番待ってる人たちさぁ、みんな周りの人とお喋りしてるじゃん」
「ああ」
「Nだけひとりで体育座りしてるね…膝見つめてるね……か、かわいそう…」
「…帰ってきたら熱烈ハグかましてやろうぜ」
「グスッ了解です隊長…!あ、N!?N走る!頑張れー!」
「負けんなァー!!!」
「がんば……早ッ!?え、何あれ!?俊敏すぎる!」
「おぉぉ…いつもの気だるさはどこ行ったって感じね!普段もああだったらいいのに!スポーツテストのときもあの走りなら高得点だったはずよ?」
「でもアレ何だろう、手がパタパタ動いて……何か…」
「あれは……ドリブルの動きだ!バスケの!」
「は、なにそれNドリブルしながらじゃなくちゃ走れないの!?あ、ゴールした」
「やっぱ変な奴だな。面白いけど」
100m走