「すいませーんシャガせんせー、ナマエですけどー」


「おお、ナマエ。どうした」


「このあいだ私シャガせんせーに怒られに来たじゃないですか」


「人聞き悪いが、そうだな」


「その時シャーペン忘れたみたいで…」


「シャーペン?」


「はい、オレンジ色で、ノックするとこに丸いのがついてるんですけど」


「どこかで見たな…ナマエ、入っていいからナマエも探してくれ」


「おー邪魔ーしまーす」


「どこかの引き出しか…それかペン立てに入っていると思うのだが」


「落し物入れとく箱とかないんですかー?」


「無い。そもそも普通の生徒は準備室に忘れ物なぞせんからな」


「…ですよねー!」


「お、これは」


「違います」


「そうか…まぁこれはそもそもオレンジ色じゃないしな、うん」


「そうですよ、それは緑色です。ツッコミ待ちですかシャガ先生ったら」


「お、これはど」


「シャガせ…………わたくし外した方が?」


「あ、ノボリせんせー。ちわーです」


「こらナマエ、省略するな挨拶を。どうしたノボリくん」


「ノボリせんせー、私今日は怒られてるわけじゃないですよ!かっ勘違いしないでよねっ」


「ナマエ、ノボリくんは教育実習とはいえ今はお前の先生だぞ。ちゃんとしろ」


「シャガ先生ったら、これはテンプレなんですよ」


「意味がわからん」


「ノボリせんせー、シャーペン見ませんでした?オレンジ色の」


「シャーペンですか?」


「この間ここに忘れてったと思うんです、シャガせんせーは見たような気がするけどどこにあるか分かんないって言うんです、もう歳だから」


「失礼な奴だなお前は」


「ああ、それならわたくしの机のペン立てにあったはずです。よかった、やはりナマエさんのでしたか。…はい、どうぞ」


「えへへ毎回すいませんノボリせんせー」


「毎回?」


「この間化学実験室の片づけした時も携帯忘れたんです、私」


「次は何を忘れるだろうな」


「えええ!もう忘れ物しないですよ!馬鹿にしちゃダメですよシャガせんせー」


「二度あることは何とやらと言いますしね、ナマエさん気をつけて下さい」


「はぁいノボリせんせー!」


「おい、何故わたしのときと態度が違うんだ」


「前も言った通りシャガせんせーよりノボリせんせーの方が好きだからでーす」


「そうだったな、お前はそういう奴だったな」


「そういえばノボリせんせー、クラスの女の子がノボリせんせーカッコイイって言ってましたよ」


「はぁ」


「モテますね!そのうちメアド下さいって誰か来るかも」


「そういうことは禁止されてるからな、来ても無駄だ」


「あ、そーなんですか」


「そうだ」


「そっか、じゃあノボリせんせーは女子高生とオトモダチになれないんですね」


「いえ元々そんな気はありませんが」


「ほらナマエ、ペンが見つかったのだから早く教室帰れ。授業はじまるぞ」


「えーまだ10分もあるじゃないですか、あと一時間くらい居させて下さいよ…ついでにお茶下さい」


「帰れ。授業をサボるな」








「ただいま!準備室おいだされた!」


「おかえりー」


「ペンはあったのかい」


「あったよー」


「そうか」


「あ!トウヤくん何でマドレーヌ食べてるの、いいな!購買にそんなのあったっけ?」


「保健室で貰った」


「ああ、コーンせんせーか。納得ー」


「一口食うか?ほれ」


「食べる食べる!」


「ナマエ、シャーペン借りていい?」


「マドレーヌうま」


「ナマエってば」


「ん?あ、いいよー!でも確か芯きれてたからちょっと待って、入れてから貸すね」


「悪いわね」


「いえいえー…あれ?」


「どうかしたかい」


「え、何これ。シャー芯いっぱい入ってる。いっぱいっていうかみっしり入ってる。優しさ?」


「勉強ちゃんとしろよってことじゃね?」







シャーペンとシャガ先生





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