朝ごはんを隣のノボリんちにたかりに行ったら見覚えのないおんなのこがいた。ベーコンエッグのせたトーストもりもり食べてる。僕がドアをばたーんって開けて登場したことに大した注意も払わずにトーストもりもり食べてる。そして牛乳飲んでる。口の周りに牛乳ひげできてる。ごしごしと手近な布で口拭ってる。ねぇそれ台拭きだよ。僕もよくやるけど。

「あぁクダリ、今日は早いのですね。でも寝ぐせついてますよ。それとってからいらっしゃい」
「ノボリ…隠し子?」
「違いますよ似てないでしょうが」
「ふてぶてしい態度が似てる」
「誘拐犯と一緒にしないで」
「…………誘拐?」

それについては後でゆっくりと話しますから、って言ってノボリにぐいぐい背中を押されるまま、僕は洗面所に押し込まれた。なんなの。足元にノボリのシャツとおぼしき洗濯物が散らばってたから、めずらしいなぁと思いながら拾い上げて洗面台の横に据え付けてある洗濯機に突っ込んだ。途中でなんか見ちゃいけないものが、具体的に言うと白いパンツが、見えたような気がしたけどきっと気のせいだと思う。おいまさかあの子今ノーパンじゃないだろうな。ノボリ犯罪おかしてやしないだろうな。誘拐?まさか、まさかね。だってノボリが金欲しさに誘拐なんて企てるはずないし。そんなに困窮してないし。ロリコンだっていうならともかく。………え、まさかノボリロリコンじゃないだろうね。あんな色気ないぼろっちいパンツはいてるような子供に欲情とかやめてよね。クダリ!パン冷えますよ!ってノボリの声が聞こえたから、ワックスで寝ぐせごとぐしゃり、髪をうしろに流して洗面所を出る。あーなんか考え事したら今日は一段とお腹減った。テーブルについたら斜め前の席から、穴があくほど熱烈な視線を送られる。やだなー僕ってばこんな子供にまでフェロモンまきちらしちゃって、あははー。冗談ですけど。トーストを咀嚼している間じゅうずーっと見られ続けて、ごちそうさまと手を合わせたその後にぽつりとその子供にひとりごとのような言葉をかけられた。

「あ、わかった。双子でしょ」

見りゃわかるだろ、って思った。その言葉は飲み込んで、そうだよ、とだけ返した。



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