ロリ・アンド・ポップス







おちつくんだ。素数を数えるんだ。まだ解き明かされてない謎がいっぱいあるポケモンがそこいらにいっぱいいるこんな世の中だもの、例えば野生の何かと遊んでる時にドわすれちいさくなるからのバトンタッチ、とかで、なんかこう、人間も小さくなったりするかもしれないじゃない。そう。だからなまえがおこさまみたいなカッコしてスカートの裾引きずりながら歩いてきたって何ら不思議じゃないんだ。全ての事象は起こりうる事柄なんだ。「ちがうよー、ポケモンと遊んでたんじゃないよー、わたしたまねぎと遊んでたの!」うん、うん、考えようによってはよかったんだよ、体は大人で中身は子どもとか悲惨なことにならなくて済んだんだからね。「うぷぷ、おじさんなにいってるの!へんなおじさん!」ちっちゃいなまえは僕に肩車されたまんま、僕の頭へそのちっちゃい腕をまわしてギューと抱きつく。


「こらちょっとなまえ、前が見えないよ…あと僕はおじさんじゃないです、クダリさんかお兄さんって言いなさい」
「くだりさん?おにいさん?」
「うん、そう」
「おにいさんなんさい?」
「二十代後半」
「……んー?」
「お兄さんです」
「おじいさん?」
「違うよ!」


おじいさんだぁー、だってねぇわたしよりも年とってるもん、おじいさんのおにいさん!大きいなまえと同じにケタケタ笑いながらちっちゃいなまえは僕の髪の毛を軽くつんつん引っ張る。


「ちょっとー、なまえやめて髪の毛ぐしゃぐしゃになっちゃう」
「ぐしゃぐしゃの方がかっこいいよ」
「僕お兄さんだからちゃんとしてなきゃダメなの。お兄さんは大人なの。大人はちゃんとするの」
「おじさんだからはげると困るの?」
「僕はおじさんじゃないもん!」
「おじさんでもへろもんがもんもんならかっこいいと思うよ?」
「フェロモンなんて言葉どこで覚えちゃったの君は…」


僕のつむじを熱心にぐりぐりしながらへろもんはおとなのだんせいがどばどばたれ流すやつだよ、いろけってやつだよと上の空で返答するなまえのこの妙な知識は一体いくつの時に身に付いたものなのだろうと内心頭を抱えた。普通さぁ、こどもってもっとピュアで可愛いものなんだと思うんだけど。


「はーいドアくぐりまーすなまえ頭ひっこめてー」
「きゃー」
「ノボリー?いる?」
「はい?」
「あ、いた」
「おや、どうしました迷子ですか?」
「迷子じゃないよなまえだよ」
「は?」


お前は何を言っているのだとうさんくさげな目でこっちをじっとり眺めてくるノボリに、ほら!となまえの軽くて小さな体を両手で抱え差し出す。「なまえ……?」いぶかしげに眉をすがめたノボリの表情にちいさななまえは一瞬ぎょっと目を見開いて、あ、やばい泣いちゃうかもと僕が焦った瞬間、ぴゃっと僕の腕を飛び出し驚いた顔したまんま何が起こったかも把握しきれず固まったそのしかめっ面をちいさなてのひらでがっしりと掴んでどこからそんな声が出るんだというような声量で叫んだ。


「うわぁぁぁぁすごーいおんなじかお!でもおじさんよりもとってもへろもんがどばどば、すごーい!いろけ!おにいさんせいてき、です!」
「…………な」
「なんで僕はおじさんでノボリはおにいさんなの!」
「え、は、何を言っているのですかクダリ!?」
「やー、おじさんはぜんぜんいろけ出てないー……」
「僕だってその気になれば色気のひとつやふたつ……」
「ぜんぜんだめだめ、したたるへろもんないもんね、おじさん」


にまっとイタズラを思いついたときのガキん子の顔でぐふぐふとなまえは含み笑いをしている。く、くそぅなまえのくせに…!


「クダリ、クダリ、………これはなまえなのですか?」
「だからそうだって言ってるでしょ。……多分、だけど」
「たぶんじゃないもん、わたしなまえだもん」
「なまえ……ですか……」
「少なくとも服はなまえのだし……ポケモンと遊んでるうちにどーにかなっちゃったんじゃないかなって僕は思うんだけど」
「ほう…」


ノボリがなまえ、チョコレート食べますかとなまえの頭を撫でるとちいさななまえは食べる!…ます!と言ってお行儀よく両手を揃え黒いコートのポケットからころんと出されたチョコレートの包みを受け取った。ありがとうー、ござい、ます!とニコニコしながらなまえは……あれ、なんか僕の時と随分態度違くない!?


「なまえ……!あなたは素直でいい子ですね、わたくし少々感動で涙が」
「えへへー!……………おにいさんめっちゃ、いいにおい…!……はふ、くんくん」
「な、なになまえ!僕が肩車してあげたときはそんなんじゃなかったじゃん!もっと生意気だったじゃん!」
「やぁだなにいってるの、おじさんへーん!」
「なまえ、なまえ飴玉もありますけど」
「たべたい、です!おにいさんだいすき!」
「くっ…………ブラボー…!!」
「ノボリのロリコン!」
「はい、あーん」
「あー……むっ」
「うふふなまえ、わたくしの指まで食べてしまっていますよ、くいしんぼうさんですね」
「きゃー!…………指ほっそい指うるわしい指ぺろぺろいひひ」
「こ、この変態ども!」


わぁん!と給湯室にかけ込んだらきゃっきゃとなまえとたわむれてたノボリが「あ、クダリ冷蔵庫にプリンありますので持ってきて下さいまし」僕は使いっぱしりじゃないよ!それでも律義に僕は綺麗な白い箱に入ったとろけるプリンをノボリたちのところまで持っていく。「クダリ、スプーンがありませんが」くそ…幼女をお膝抱っこだなんてノボリ逮捕されちゃえばいいのに!


「プリン?」
「なまえプリン好きですよね?」
「すき!……です!」
「いいお返事ですね」
「スプーン持ってきたよー」
「ご苦労様です」
「ロリコン」
「本来のなまえは大人ですから問題ありません、そうですよね?」
「ねー?」
「ふ、ふふふ、この子はわたくしが責任もってまともな大人にもう一度育てあげてみせます……!」
「ロリコン、ダメ絶対」
「それなんてぎゃるげ?ひかるげんじ?ようじょいくせい?」
「えっ」
「んーんープリンおいしー」
「……なんだ空耳か」

プリンおいしーおいしーとちゅるちゅるぱくつくなまえのほっぺたを甲斐甲斐しくノボリがハンカチで拭いているのを見てイラッとした。でも無邪気に笑ってるなまえの目が一瞬ギラッと光ったのを僕は見逃さなかった。やっぱあのこ怖い。なまえ、わたくしのプリンも食べていいのですよなんてノボリがプリンをあーんしてる。犯罪にしか見えない。ふくらんだほっぺたを両手で幸せそうに押さえながらむぐむぐと咀嚼しているなまえが、おにいさんもあーん、どうぞ、って言いながらちいちゃい手に握ったスプーンで
プリンの一掬いを差し出す。ノボリはもちろんウフフと笑いながらそれをぱくりと口に入れる。うん、犯罪。


「……なまえ、僕のプリンも食べていいよ…」
「え、いいの!」
「うん」
「……おじさんプリンきらいなの?」
「ううん、別にそういうわけじゃないけど」
「なんで食べないの?」
「なまえが美味しそうに食べるからさ」


んー、んー?と首をひねってなまえは数秒思考をめぐらせたのち、「じゃあねー、プリンはんぶんこする!ん、これ、こっち、はい、あーん」僕の方へスプーンにてんこ盛りのプリンを差し出してきた。僕べつにいらないんだけどなぁと思ってノボリをちらりと見たらギリギリとハンカチでも噛みそうな顔でこっちを見てきた。こわい。ぱくっとスプーンに食いついたらなまえはニコニコからもっとニコニコになって「ねー、おいしいでしょ、くだりさん」って笑った。


「へっ、なまえ、」
「でものこりの半分はわたしがもらうんだもーん、もうおじさんにはあーげないっ」
「なまえなまえ、プリン食べ終わったらお昼寝しましょうか」
「ノボリ、もう休憩おわっちゃうから。お昼寝してる時間ないから」
「午後休取ります」
「なにいってるの!」


だってこんな小さい子をこんな部屋にさびしく残したまま業務なんて出来ません!仕事に差し支えが出てしまいます!なんて馬鹿もいいとこな発言をしながらノボリはなまえの後頭部にすりすり頬ずりしてた。どう見てもその構図は犯罪である。なまえは我関せずといった風にプリンをぱくつくのに夢中だった。

ちなみにその2時間くらいあとに寝ている2人を起こそうと仮眠室へ行ったら、何故かワイシャツの前をやりすぎなくらいはだけネクタイで手を拘束されたまま寝入っているノボリと、それを夢中で激写する元の大きさのなまえがいた。「何か知らないけどノボリさんがわたしの横で無防備に寝てたのでありがたく撮らせていただきました!」つやつやのイイ笑顔でグッと親指を立てるなまえ。本物の馬鹿だと思う。「あ、そうだクダリさん、あのね、朝ホームにね、みどりの玉ねぎみたいなのがいたんですよー」妖精さんですかね?なんて乙女チックファンシーな事を喋りつつなまえのその手はバシャバシャとシャッターを切りまくっていた。




幼児化夢主ボツ話


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