ロールプレイングゲーム







ねぇねぇ聞いて聞いてよあのね、さっきマルチトレインにすっごく強い子たちが来たの!キラキラと目を輝かせつつさながらマシンガンのように言葉を並べていくクダリさんに、目を白黒させながらこくこくとただ首肯を返す。すっごく強くてあんなに小さいのに的確で速くて鋭くて熱くて、あぁ彼らの将来が楽しみだと興奮した早口で笑って私の腕をひっつかみくるくると回るクダリさんの広がったコートを眺めて、やっとこの人もわくわくするものに出会えたんだなぁと、少々ズレた感動を覚えた。ねぇ、ねぇ、君もきっと大好きになる、すっごくあの子たち強いから!すごいよ、ほんとすごい!僕すっごくドキドキした!ねぇ、本当に、あの子たちは何だろうね、すっごくすごい!すごい!ぎゅうぎゅうとまるでテディベアを抱きしめる子どもみたいにクダリさんが全力ハグをかましてくれているので、息が苦しくってしかたがない。そうだなぁ、多分わたしもその子たちの事を一目見ただけで心を奪われてしまうのだろうな、間違いなく世界の中心だ、その子たちは。ねぇねぇ僕の事覚えててくれるかなぁあの子たちは、また来ますって言ってくれたけど!ぐりぐり私の肩口に額をおしつけて幸せそうに笑うクダリさんの頭をぽんぽんと叩いて考えた。話題の彼らを取り巻く世界の中では、多分このクダリさんでさえも電車で戦える強い人、くらいの認識であって、わたしみたいなのは多分、視界にすら入らないような、モブというよりは風景の一部みたいなものなんだろうな。あちらから関わってこなければ出逢うことだってできないし、ほんの一つまみのラッキーがあったとしたってきっと、彼らの行く手を阻むような、噛ませ犬的なポジションか、または「ここはギアステーションだよ」的な、そう、村人Aみたいな存在価値でしかないんだ。主人公になんて、なれやしない。





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