ノイズキャンセラーをキャンセルしてきた



耳にその末端を二時間半くらい突っ込みっぱなしだったカナル式イヤホンがいい加減ヤンデレすぎる、だってわたしの聴覚神経へ延々愛の歌流し込み続けてるしノイズをシャットアウトするとかいう謳い文句通りに周りの音からわたしを切り離しちゃってさ!おかげで二時間くらい延々わたしの後ろでわたしに愛の言葉吐き続けてるクダリさんのツンデレな声を聞き逃してしまったじゃないか。


「べつに僕君に愛の言葉なんて吐いてないし」
「またまた照れちゃって!」
「照れてないよ離れてキモチワルイ」


実は耳にその先端を突っ込みっぱなしだったイヤホンからは音楽なんか垂れ流されていなかったし内緒だけどこれカナル式でもない周囲の音だってばりばり聞こえちゃうような普通のイヤホンだったしクダリさんに言ったらびしばし頭に愛ビンタ食らうだろうから黙っとくけどほんとのところを言うとこれは音楽再生機器じゃなく録音機ですので、ばっちりばっちりクダリさんの二時間にわたるアイラブユーソロコンサートはわたしの手の中に収まっているのでした。今すぐ再生ボタンを押してまたあのくすぐったすぎる愛の暴言を聞きたいのだけれど、そしたらせっかく目の前にいるってのにクダリさんのうるわしの生声が聞けないからなー、今夜寝る前のお供にしようかなー。クダリさんツンデレおいしいです!って腰に抱きついたらべしんべしんあったかい手のひらでつむじを叩かれた。まったく痛くないのでこれを愛と呼ぶことにした!




《ぼく君がすき、すきだよーこっち向きなよばかー嘘だよーこっち向かないでよばかーばかばかーはやく僕の気持ちに気付きなよばかばかーあいしてるよーうそだよーうそだよー嘘っていったのが嘘だよー、ばーか》



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