(side:you)

最近仲良くなった後輩がいる。

わたしがマネージャーをやっているテニス部の子、財前光くん。

ピアスがすごくて右に3つ左に2つ、髪の毛はツンツンで愛想悪そうで初めて会ったとき、あんまり良い印象を持っていなかったけれど、テニスへの姿勢は真面目な子で無愛想に見えるのは人見知りなだけだった。
謙也とダブルスを組んでいて生意気なところが目立つけど、先輩思いなところもあってなかなか可愛い後輩だと思う。それに元々持っていたテニスの才能と日頃からの努力の成果で二年生レギュラーになった彼を、純粋にすごいと思っていた。


1年生までは謙也とはよく二人で出かけることがあったけれど、ダブルスを組んでから財前が加わって3人が多くなった。
行く場所は大体決まってなくて、駄菓子屋行ったりファミレス行ったり誰かの家だったり。
特に目的を持って集まるわけじゃないけれど、だらだらとその時間を過ごすのが好きだった。

今日もいつも通り、部活終わりに3人で寄り道をするつもり。


「ゆかり先輩、待たせてすんませんした。」

「ホンマや財前!俺はとっくに着替え終わってたんやからな!」

『待ってないから大丈夫、気にしなくていいよ。』

言った通り全然待ってなかったし、ていうか謙也に合わせたら何から何まで高速になってしまう。
財前くんは着替え途中で謙也に引っ張り出されてしまったみたいでまだ閉めていない制服のボタンをとめている。
ボサボサの髪は部活が終わってから一度も整えてないみたいだから、軽く手櫛で整えてあげる。

「…ありがとうございます。」

『どういたしまして。』

ほな行くで、と先にを歩く謙也を追ってわたしたちも歩き出した。


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