自分で言うのもなんやけど、俺はなかなか尽くす男やと思う。
世間からするとマンガ・アニメが好きなやつはオタクと呼ばれて嫌われる対象や。 俺の彼女、香川ゆかりも日本におるオタクのうちの一人。
黙っとればむっちゃくちゃかわええんやけど、一度口を開くと昨日のアニメはどうだった来週発売のアニメ雑誌は〜と一般人からは引かれる会話が止まらへん。 好きなタイプ聞きよると金髪碧眼の高身長とか答えるしな。そんなやつ日本人にはおれへんわ。…金髪高身長までは良い線いっとるんやけどな。
まぁ残念なイケメンもとい、残念な美人とはこいつのことや。
好きなやつがオタクだと知ったとき少なからずショックを受けた。せやけど逆に考えると、ゆかりがオタクっちゅーことでライバルの方から消えてくれる。 もともとマンガは好きやったし、せやったらこいつと趣味合わせたらええやん! ゆかりの好きなマンガをとりあえず全巻買って、あらかた話の内容を覚えたところで話しかけに行く。話の内容で盛り上がったところで「なぁ、俺ら友だちにならへん?」『ええよ、忍足くんなら大歓迎やわ!』そっから距離を縮めていった。 他にも好きなアニメを教えてもらって、それをチェックしているうちにいつの間にか中の人の声まで聞き分けられるようになっとった。
そんなこんなでついに告白したらオーケーをもらえたっちゅー話や!
***
『しまった!ガ◯ダムの録画予約忘れとった…。』
「それなら心配あらへん、俺んち録ってあるで。」
学校の帰り、ちょっと遠出をして青い店へと向かう。 デートの日に何が悲しくてアニメの会話なんかせなあかんのや。ガ◯ダムおもろいけどな、デートくらい独り占めさせろや…。
今日は新発売のマスコットをゆかりが買いたいらしくここまで来た。…デートでアニメグッズのお店って切なすぎやろ。 最初の方こそ入ることをためらった店内やけど、今では一人ででも余裕で入れるわ。
お目当てのマスコットを見つけて嬉しそうなゆかり。…マスコットが羨ましいなんてどうかしとるな、俺。
「…俺はどないしたらそいつに勝てるんやろか。」
一人ボソッと呟いたつもりやったけど、ゆかりに聞こえていたらしい。
『なんやそんなこと気にしとるん?』
「お、俺にとってはそんなことちゃうねん…。」
2次元(フィギュアやから2.5次元?)に嫉妬するなんて俺、恥ずかしすぎるやろ。 でもしゃーないやん、それくらい好きになってしもたんやから。
「っちゅーか俺はお前ん中で一体何番目やねん。」
『うちは誰よりも謙也が一番やで?』
…なんや俺の彼女めっちゃかっこええやん!
『一番じゃなかったらてめぇなんざに時間使わないでリアルタイムでガ◯ダム見るわ。』
「…すまん。」
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